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前編
しおりを挟む艶のある銀の髪に燃ゆるような紅の瞳――それを持って生まれた者は、例外なく、建国の女神の生まれ変わりとして敬愛を向けられ大切に扱われてきたという。
そして私もその一人だ。
確かに大切にはされてきた。
実家を離れ城で育てられた。
私が建国の女神の生まれ変わりだったから――。
でも城内では平民ながら城で暮らす私を良く思わない者もいた。
特に王妃の一派。
王妃をはじめ、その周りの人たちは、私という存在を受け入れられないようだった。
「あんな貧相な娘が言い伝えのためだけに城にいるなんてね」
「あり得ないわよねぇ」
「それにさ、ちょっと感じ悪くない? 威張ってるわよね」
「それそれぇ。威張ってるって感じ。ずっとここにいるから自分が偉いとでも思ってきているんじゃない?」
「馬鹿ね」
「もしかして、陛下の愛人なのかしら」
「愛人の子かもぉ」
王妃に近い侍女はいつも私の悪口を言った。
それもあることないこと。
いや、ないことの方が多いくらいだった。
そして王妃も。
「あなた、この城で暮らすならそのだっさい格好をどうにかしてちょうだい! 早くどうにかしなければ、いずれここから追い出すわよ!」
私への接し方は心ないものだった。
「夫は息子と結婚させるとか言っているけれど、息子は絶対にあげないから! 息子の結婚相手はわたしが決めるのよ!」
だが王妃の意見は無視され。
国王は私と長男カエインの婚約を決めた。
その時、王妃は、かなり荒れていたようだ。
息子を私のような人間に渡すのが悔しかったらしい。
――それから二ヶ月ほどが経ち。
「急に呼び出してすまないね」
「いえ」
その日は晴れていた。
爽やかな色をした空の日だった。
「実は、大切な話があるんだ」
「大切な……はい、何でしょうか」
彼は一度深呼吸し、続ける。
「君との婚約なのだけれど、破棄することになったから」
あぁ、やはり、上手くいかなかった――。
いや、分かってはいたのだ。彼と穏やかに結ばれることなどできないだろうと。反対派もいる、それで温かな結末を迎えられるはずもない。だから、こうなることだって、少しは予想していた。
ただ、それでも若干ショックだ。
私は希望を見つめようとしていた。
光ある未来を掴もうと。
でも叶わなかったと知ってしまった瞬間の――切なさ、虚しさ、そして胸の痛み。
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