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前編
しおりを挟む私リリアナは生まれながらにどんな魔獣でもてなずけられるという能力を持っていた。
しかしそれが良い方向に利用されたことはなく。
むしろ周囲には嫌われる原因となっているほどであった。
そして婚約者アドフィスもまた、私の手に宿った魔法みたいなその能力を毛嫌いしていた。
彼からはよく「そんな能力、気持ち悪いだけだ」とか「本当に不快だ。どうしてお前みたいなのと婚約することとなってしまったのだろう」とかばかり言われていて。
だから私は自分でもその能力を好きと思えないようになっていた。
――そんなある日。
「リリアナ、お前との婚約は解消する」
ついに告げられてしまった。
「え……」
「だから! 婚約破棄ってことだ!」
「えっ!」
「何を今さら。分かってんだろ? 嫌われることくらい」
「まぁ……それはそうですけど……」
「なら驚く必要ねえだろ。予感してたってことなんだからよ」
こうして彼との関係は終わりを迎える。
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