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2話
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「婚約、破棄します」
ミットネルの顔面が絶望に染まる。
「そ……そん、な……」
彼は唇を紫色にしていた。
「たった一度、たった、一度だけ……なの、に……」
「一度でも見た方が傷つくのよ」
「だから! ごめんって! 言ってるじゃないか!」
「逆ギレしないで」
「……ごめんなさい」
「後から謝ってもらってもどうしようもないこともあるのよ、この世界には」
こうして私はミットネルの前から去ることを選んだ。
未練などあるわけがない。
ただ、悲しみ、切なさ、そういったものは確かに存在する。
彼を信じてきた日々を。
幸せを信じてきた日々を。
今はとても遠く、そして、悲しく感じる。
妹さえいなければ今でも私たち仲良しでいられたのかな。
このまま結婚にまで真っ直ぐ進めたのかな。
何度もそんなことを考えて。
でもそのたびに「無駄なことよ」と自分に言って聞かせた。
もうすべて終わったの。
今さら何を考えようとも過去へは戻ることなどできない。
ならば今はただ前を向き続けるべし。
それだけが、幸せな未来へと向かう道。
ミットネルの顔面が絶望に染まる。
「そ……そん、な……」
彼は唇を紫色にしていた。
「たった一度、たった、一度だけ……なの、に……」
「一度でも見た方が傷つくのよ」
「だから! ごめんって! 言ってるじゃないか!」
「逆ギレしないで」
「……ごめんなさい」
「後から謝ってもらってもどうしようもないこともあるのよ、この世界には」
こうして私はミットネルの前から去ることを選んだ。
未練などあるわけがない。
ただ、悲しみ、切なさ、そういったものは確かに存在する。
彼を信じてきた日々を。
幸せを信じてきた日々を。
今はとても遠く、そして、悲しく感じる。
妹さえいなければ今でも私たち仲良しでいられたのかな。
このまま結婚にまで真っ直ぐ進めたのかな。
何度もそんなことを考えて。
でもそのたびに「無駄なことよ」と自分に言って聞かせた。
もうすべて終わったの。
今さら何を考えようとも過去へは戻ることなどできない。
ならば今はただ前を向き続けるべし。
それだけが、幸せな未来へと向かう道。
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