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前編
しおりを挟む「お前みたいなやつ、どーでもいいんだよ! ってことで、婚約は破棄な! 地味な女が努力もせず俺の横にいられると思うなよ!」
その日、婚約者フィメールは、そんな言葉を私に向けて投げた。
私は彼を愛していた。大切に思っていた。一緒に生きていけたらいいな、そう思っていたし、彼に対して悪い感情は抱いていなかった。
けれども彼は違ったようで。
彼は私を良くは思っていなかったようだ。
「俺の横にいたいならせめて自らご奉仕するとかしろよな! ま、もう遅いけどさ」
「婚約破棄……本気なのですね」
「はぁ? あったりまえだろ? 本気じゃねーことわざわざ言わねえよ!」
きっと彼の心が私へ向く日は来ないのだろう。
たとえどうあがいたとしても。
この状況は私には変えられない。
悲しいし痛かった――けれどもどうしようもなくて。
「そうですね、では、私は去りますね」
結局私は彼の前から消えるしかなかった。
愛など。
想いなど。
無駄だった。
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