え、いや、ちょ……何が起きたんだ!? 婚約破棄を告げられた直後の出来事でした。

四季

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前編

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 そう、それはありふれた日だった。

 私は婚約者の彼モルティスに呼び出され、彼の家の近くの草原へ向かった。

 ここは二人が出会った場所。
 ある意味思い出の場所。
 そんなロマンチックなことを言うような人間ではお互いなかったけれど、でも、だからといって始まりを忘れてしまったわけではない。

「お前との婚約を破棄する」

 第一声、それだった。

 モルティスはいつもと変わらないきっちりとした服装でやって来たのだけれど、その表情は理解できないほど冷ややかで、見ているだけで寒気がしてくるようなものだった。

「婚約、破棄……」
「そういうことだ、分かったな」
「待って? 急過ぎない?」
「しつこい女だな。そういう気分になったんだよ、もう変えられないんだって。だからおしまいだ! いいな?」
「何よそれ、勝手だわ」
「知るか。俺には俺の人生がある、そこに口出しする権利なんてお前にはない」
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