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後編

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 だが、その時、意外なことが起こった。

「あの、少し良いですか?」

 高貴そうな青年が近づいてきた。

「え……私、ですか?」
「はい」
「ええと……お手洗いの場所、でしょうか?」
「いえ違います。貴女と話してみたいと思いまして」
「え!?」

 吹き飛ばされるような勢いで後退してしまう。

「少し……興味を持って。よければ一緒にお話しませんか?」
「え」
「大丈夫ですか?」
「え、えええ……」
「あの、顔色が悪いですけど。……無礼でしたか?」
「いえ……」

 彼の行動に問題はないのだけれど、ニーナを含んだ踊り子たちに睨まれている。

 気まずい、気まずいぞ……。

 その後。

「何よあいつうううう! 許せないわあああああ! くそ姉さん、馬鹿じゃないのおおおおお!」

 モリーニアは「自分が選ばれないなんて」という理由で激怒していた。

「センスなさすぎでしょおおおおお! 貴人のくせにいいいいいい! どうして姉さんなの? 姉さんなんて地味の極みじゃない! しかも性格も良くないし! 最低だわあああああ!」

 その後私は色々あって、青年と結婚するところにまで至った。

 まさかの展開だろう。
 しかしそれは現実で。
 彼は確かに私を愛してくれていた。


◆終わり◆
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