上 下
2 / 2

後編

しおりを挟む
 ◆


 あれから数年、私は第二王子に見初められめでたく結婚した。

 なぜ彼と出会ったか?

 きっかけは城へ働きに出たことだった。

 婚約話がなくなりすることがなくどうしようかと思っていた時に親戚のおじさんから「城の働き手が不足していて困っているらしいんだけど」という話を聞き、どうせすることもないので、と、城へ行って働いてみることにした。で、そこで洗濯係として働いていた最中に第二王子に気に入られ、彼と将来を共にする女に選ばれた。

 今は王子の妻としての教育を受けながら人脈を増やしていっているところだ。

 洗濯係であれば学ばなくて良いことも、王子の妻となれば学ばなくてはならなかったりもする。

 王子の妻も楽ではないのだ、経済的には困らないけれど。

 城での暮らしを知り、いろんなことを学び、王子の配偶者らしい振る舞いを習う。王子の妻である以上品格が要る。そのためにやらなくてはならないことはたくさんあるのである。

 ちなみに、元婚約者のアブレルは、一人の女性に惚れ込むもアンネマンと三角関係になってしまったそうで……女性がアンネマンと深い関係に発展していることを知ってしまった晩に、自宅近くの大きな木に紐をかけ命を託したそうだ。

 つまり、彼はもうこの世にはいないのである。


◆終わり◆
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...