私の母はとんでもなく情緒不安定で、毎日が地獄でした。~愛の対象なんて色々なのですよ~

四季

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2話

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 ◆


「お母さまより虐められているそうですね」

 辛い日々の中、迎えた運命の日。
 お昼間の散歩中一人の男性から声をかけられた。

「え……」

 想定外の声掛けに困惑する。
 つい怪訝な顔をしてしまう。

「失礼かもしれません、無礼でしたらすみません。ただ、お聞きしたのです――長年母親より暴言を吐かれていると」

 不審者には見えない男性だが、警戒心はどうしても多少芽生えてしまう。

 家の中のことをどうして知っているの? という感じで。

「どうして、そんなこと」
「救いを求めてはいらっしゃらないのでしょうか?」
「まずは問いに答えてください!」

 半分無意識に調子を強めてしまって、少し後悔。

 でも彼は不快そうな顔はしなかった。
 どこまでも冷静な振る舞いだ。

「そうですね、では」
「お願いします」

 ひと呼吸おいて、彼は話し出す。

「実は、近所の方より通報がありまして」
「そうでしたか……」
「それで、よければ避難しないかと、そう提案させていただきたく」
「そういうことだったのですね」
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