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「お前はこの城に相応しくない! 今ここで婚約破棄する!」
「本気で仰っているのですか?」
「あぁ。お前は僕のそうだな、それは許されることではない!」
私、ローズマリー・リリーは、婚約者である王子から理不尽な婚約破棄を突きつけられた。
ずっと放置されていたのに突然呼ばれたと思ったらこれだ。
「あの……話がよく分からないのですが」
ただ、彼が侍女の一人ととても仲良くしていることは前から知っていた。恐らく彼女が何かおかしなことを言ったのだろう。私を邪魔に思って嘘をついたか。
「父上はお前をこの国を守る聖女と言った。だから仕方なく婚約した、国のために。だが! お前は侍女を虐めた! そんな女が聖女なわけがない。付き合いきれない。さっさと出ていってくれ!」
私は何とか説明をしようとした。しかし彼は聞く耳を持っていなくて。私は城の警備員に腕を掴まれ、そのまま、強制的に城を追い出された。城門のすぐ外へ放り出されてしまった。
いきなり何でもないただの女になってしまった。
これからどうしよう。
私はただ溜め息を漏らすことしかできなかった。だって仕方ないではないか、いきなりこんなことになるなんてまったく想像していなかったのだから。冷ややかな視線を向けられながらも城でそれなりに生きていくものと思っていたのだから。
まずは食べ物と飲み物が欲しい。
けれどお金はほとんどないし、どうしたらいいのだろう。
「本気で仰っているのですか?」
「あぁ。お前は僕のそうだな、それは許されることではない!」
私、ローズマリー・リリーは、婚約者である王子から理不尽な婚約破棄を突きつけられた。
ずっと放置されていたのに突然呼ばれたと思ったらこれだ。
「あの……話がよく分からないのですが」
ただ、彼が侍女の一人ととても仲良くしていることは前から知っていた。恐らく彼女が何かおかしなことを言ったのだろう。私を邪魔に思って嘘をついたか。
「父上はお前をこの国を守る聖女と言った。だから仕方なく婚約した、国のために。だが! お前は侍女を虐めた! そんな女が聖女なわけがない。付き合いきれない。さっさと出ていってくれ!」
私は何とか説明をしようとした。しかし彼は聞く耳を持っていなくて。私は城の警備員に腕を掴まれ、そのまま、強制的に城を追い出された。城門のすぐ外へ放り出されてしまった。
いきなり何でもないただの女になってしまった。
これからどうしよう。
私はただ溜め息を漏らすことしかできなかった。だって仕方ないではないか、いきなりこんなことになるなんてまったく想像していなかったのだから。冷ややかな視線を向けられながらも城でそれなりに生きていくものと思っていたのだから。
まずは食べ物と飲み物が欲しい。
けれどお金はほとんどないし、どうしたらいいのだろう。
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