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1話

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 私の婚約者は女好きだ。

 しかし私は彼に嫌われている。

 私も一応女ではあるのだけれど。でも、彼の目には、女としては映っていないようで。女相手であれば大抵いつも優しく接する彼だけれど、私に対してだけは非常に心ない。暴言を吐くなんて日常茶飯事。

「お前ってさ、ほーんとクソゴミだよな。まず可愛くねぇ、外見も心も。愛嬌もねーしな。美女じゃねーしスタイル神なわけでもねーんだからさぁ、ちっとは媚びろよな。そんな簡単なこともできねぇとか、脳みそ腐ってるわ。あーあー腐敗臭やべーって」

 彼、ブルトリニッツは、こういうことをいつも平然と言ってのける。

 そういうところが嫌いだ。
 言われる側のことも少しくらい考えてほしい。
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