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後編

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 ◆


 その後私は王子に気に入られたことで有名歌手へと飛躍した。

 今や一夜にして凄まじい額を稼ぐ。

 それから数週間が経った頃、大金持ちとなった私のもとへプペペがやって来た。嫌みでも言いに来たのかと思っていたのだが、どうやらそうではないようで。彼はやり直したいと言ってきた。もう一度婚約しよう、と、平然とそんなことを言ってきたのだ。

 もちろん、断った。

「私は歌を捨てる気はありませんので貴方には相応しくないと思いますよ」
「いや、いいんダァ。お金があるなら別だヨォ。稼ぐならネェ。趣味程度ならやめてほしいけドォ、それで儲かるなら話は別なんだヨォ」
「お断りします」
「ええ!? どうしてなんダィ!?」
「お帰り下さい」

 もう終わった関係だ。
 今さらやり直そうとしても無駄。

 それからしばらくして、私は、王子から結婚を申し込まれた。

 もちろんイエスと答えた。

 私の歌を理解してくれた人、私の好きを無視しなかった人――私はそういう人となら共に歩んでいきたい。


 ◆


 ちなみにプペペは、王子が歌手である私と結婚することを強く批判し王子や私のことを侮辱したことで拘束され、それらの行為があまりにも酷かったため公開処刑された。


◆終わり◆
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