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2話
しおりを挟む「そうですか、では、婚約は破棄ということで。承知しました。両親にそう伝えておきますね」
エルダーフラワーは動じなかった。
彼女はその日も自宅の庭で椅子に座ってお茶を飲んでいて。
辺りにはカモミールの匂いが漂っていた。
「これまでありがとうございました」
そう言って微笑むエルダーフラワー。
結局モードリッグは最後までエルダーフラワーを思い通りにはできなかった。
「聞いた!? エルダーフラワーさん婚約破棄されたんですって!!」
「やっぱ気まま過ぎかしらねぇ」
「まぁ、毎日お茶ばかり飲んでいるような子だものねぇ。あまり良くは思われないわよねぇ」
「女ならもっと奉仕しなくちゃ、若いんだから」
「あたしは最初からそうなると思ってたわ」
婚約破棄を知った人たちには陰で色々言われていたが、エルダーフラワーはちっとも気にしていなかった。
それに。
そもそも、陰であれこれ言われていることに気づいていなかったというのもある。
それから数日。
婚約破棄を知って、第二王子フルレインクルがエルダーフラワーのもとへやって来た。
「エルダーフラワーさん! ちょっといいですか?」
「あ、ええと、貴方は……」
フルレインクルは、銀髪と赤目が王族の中でも珍しく、国民からの人気もかなり高い王子だ。
「ええと、どちら様、でしょうか」
「僕のことを知らないッ!?」
「申し訳ありません、ええと……」
「フルレインクル! 第二王子です!」
「まぁ、王子様、なのですか?」
「そうです!」
「それで……あの、王子様がなぜこのようなところに?」
エルダーフラワーはきょとんとしていた。
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