ふわり 春の匂いがして 懐かしいあの頃を思い出す

四季

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ふわり 春の匂いがして 懐かしいあの頃を思い出す

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ふわり
春の匂いがして
懐かしいあの頃を思い出す
そうよ
あれはわたしがまだ幸せだった頃
愛しいあなたと
まだ共にいられた頃の記憶

楽しいことはたくさんあったわ
嬉しいことだって多くあって
あなたとなら幸せになれるものと
信じて疑わなかった

新しい季節に
多くの植物が芽吹くように
わたしたちの未来も
幸福という名のもと芽吹けるものと
そう思い込んでいた

ふわり
春の匂いがして
愛おしきあの頃を思い出す
そうよ
あれはわたしがまだ笑っていられた頃
特別なあなたと
まだ共に歩めた頃の記憶

手を取り合って
はにかみながら
ちょっとばかり照れて
互いを見つめ合えば
未来が見える
そんな気がした

――でもその春は嵐と共に過ぎ去って

傷だけを遺して
あなたは去っていってしまった
まるで春の嵐ね
穏やかな中に在る唯一の激しさ
あなたはわたしとの婚約を破棄して
通り過ぎていってしまったの

ふわり
春の匂いがして
懐かしいあの頃を思い出す
そうよ
あれはわたしがまだ幸せだった頃
愛しいあなたと
まだ共にいられた頃の記憶
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