幼馴染みのために婚約を破棄したいそうです

４話

　アルフレッドの両親は、一方的な婚約破棄を申し出たことを悪かったと思ってはいない様子だったらしい。それどころか、息子が婚約破棄をきちんと頼んだのに無礼な態度で接してきた、と、私に不快感を示していたようだ。また、私のことを幼馴染みの女性と比べて批判していたとか。

　関係はもう改善できそうにない。

　もはや手遅れ。

　私は婚約破棄を受け入れることにした。なぜなら、今さら何を言っても無駄だと考えたから。関係が壊れ始めてしまっている以上、このまま話を進めるのは無理だろう。そう考えて、彼の申し出を受け入れた。

　それほど高額ではないが慰謝料を支払ってもらい、私たちの縁は切れた。


　◆


　数年後、私は個人的な知り合いの異性と結婚した。

　アルフレッドとの件はあんな形で終わってしまったけれど、今度はすんなり話が進んだ。何から何までスムーズで、特に大きな問題が発生することもなかった。これといった特徴はない夫婦だけれど、それでも、幸せになれたと私自身は感じている。

　一方、アルフレッドはというと、私との婚約を破棄した後に幼馴染みの女性と結婚したそうだ。

　しかし二人の幸せな時間もそう長くは続かなかったらしい。というのも、夫婦となって間もない時期にアルフレッドの浮気が発覚したそうなのだ。それで夫婦仲は一気にこじれてしまって。結局、夫婦になって一年経つか経たないかという頃に、離婚することとなったそうだ。

　アルフレッドはそれからも、結婚しては離婚するということを繰り返しているらしい。

　最初はアルフレッドの味方をしていた彼の親も、次第に息子の行動に問題があると感じるようになり、やがて息子の味方をしないようになった。そして、アルフレッドもまた、親のところには出入りしないようになったらしい。


◆終わり◆