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後編
しおりを挟む「死になさいよおおおおおお!!」
突如見知らぬ女に襲われて。
ナイフ攻撃をかわせば背後からはエルフィドーンの武器が迫っていた。
「ごめんな、死んでもらう」
「え――」
二人して私の命を狙っていた。
どうして? どうして……彼が私を殺そうとするの? 婚約破棄の希望を受け入れなかったわけでもないのに。大人しく彼の選択を受け入れたのに、それでもなお、まだ私に苦しめというの? それも、最も酷い形、死に至れと……そう言いたいの?
だが。
「何してるんですか!!」
たまたま通りかかった一人の青年が二人まとめて地面に押さえつけてくれた。
「大丈夫です!?」
「あ……は、はい」
青年が割って入ってくれたおかげで怪我せずに済んだ。
奇跡というか幸運というか。
「この人たちは? どういうご関係で?」
「ええと……男性は元婚約者です。そちらの女性は……私は知りません。会ったことのない方です」
その後エルフィドーンと見知らぬ女性はまとめて治安維持組織へと突き出された。
――で、後に知ったのだが、二人はどうやら裏で愛し合う関係となっていたそうだ。
つまり、恋人のような関係だったのである。
エルフィドーンが他に女の作っていたなんて。
それは私にとってかなり衝撃的な事実だった。
春の日の衝撃、それは、この胸に黒いしみを残したのだった。
◆
あの時私を助けてくれた彼と、私は結婚した。
事件の最中はそんな未来は見ていなかった。
けれども事件後しばらく彼が熱心に気にかけてくれたことで段々心が動いていって――やがて私たちはお互いを見つめるようになっていったのだ。
そしていつしか互いを愛するようになり。
――その果てに、結ばれた。
ちなみにエルフィドーンとあの女性はというと、四肢を拘束された状態で路上で芸をさせられるという辱め刑に処されたそうだ。
でも気の毒ではない。
人殺しに走ったのだから彼らは悪魔だ。
それゆえ後からどんな目に遭おうとも自身の選択の結果である。
◆終わり◆
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