婚約破棄は受け入れたのに……そんなことをするなんて酷すぎませんか!? ~それでも私は幸せになります~

四季

文字の大きさ
2 / 2

後編


「死になさいよおおおおおお!!」

 突如見知らぬ女に襲われて。
 ナイフ攻撃をかわせば背後からはエルフィドーンの武器が迫っていた。

「ごめんな、死んでもらう」
「え――」

 二人して私の命を狙っていた。

 どうして? どうして……彼が私を殺そうとするの? 婚約破棄の希望を受け入れなかったわけでもないのに。大人しく彼の選択を受け入れたのに、それでもなお、まだ私に苦しめというの? それも、最も酷い形、死に至れと……そう言いたいの?

 だが。

「何してるんですか!!」

 たまたま通りかかった一人の青年が二人まとめて地面に押さえつけてくれた。

「大丈夫です!?」
「あ……は、はい」

 青年が割って入ってくれたおかげで怪我せずに済んだ。

 奇跡というか幸運というか。

「この人たちは? どういうご関係で?」
「ええと……男性は元婚約者です。そちらの女性は……私は知りません。会ったことのない方です」

 その後エルフィドーンと見知らぬ女性はまとめて治安維持組織へと突き出された。

 ――で、後に知ったのだが、二人はどうやら裏で愛し合う関係となっていたそうだ。

 つまり、恋人のような関係だったのである。

 エルフィドーンが他に女の作っていたなんて。
 それは私にとってかなり衝撃的な事実だった。

 春の日の衝撃、それは、この胸に黒いしみを残したのだった。


 ◆


 あの時私を助けてくれた彼と、私は結婚した。

 事件の最中はそんな未来は見ていなかった。
 けれども事件後しばらく彼が熱心に気にかけてくれたことで段々心が動いていって――やがて私たちはお互いを見つめるようになっていったのだ。

 そしていつしか互いを愛するようになり。

 ――その果てに、結ばれた。

 ちなみにエルフィドーンとあの女性はというと、四肢を拘束された状態で路上で芸をさせられるという辱め刑に処されたそうだ。

 でも気の毒ではない。

 人殺しに走ったのだから彼らは悪魔だ。
 それゆえ後からどんな目に遭おうとも自身の選択の結果である。


◆終わり◆

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

政略でも愛は生まれるのです

瀬織董李
恋愛
渋々参加した夜会で男爵令嬢のミレーナは、高位貴族の令嬢達に囲まれて婚約にケチを付けられた。 令嬢達は知らない。自分が喧嘩を売った相手がどういう立場なのかを。 全三話。

王子と令嬢の別れ話

朱音ゆうひ@4月1日新刊発売!
恋愛
「婚約破棄しようと思うのです」 そんなありきたりなテンプレ台詞から、王子と令嬢の会話は始まった。 なろう版:https://ncode.syosetu.com/n8666iz/

「役立たず」と婚約破棄されたけれど、私の価値に気づいたのは国中であなた一人だけでしたね?

ゆっこ
恋愛
「――リリアーヌ、お前との婚約は今日限りで破棄する」  王城の謁見の間。高い天井に声が響いた。  そう告げたのは、私の婚約者である第二王子アレクシス殿下だった。  周囲の貴族たちがくすくすと笑うのが聞こえる。彼らは、殿下の隣に寄り添う美しい茶髪の令嬢――伯爵令嬢ミリアが勝ち誇ったように微笑んでいるのを見て、もうすべてを察していた。 「理由は……何でしょうか?」  私は静かに問う。

婚約破棄?お受けいたしますので、お幸せにね。

織田智子
恋愛
9年間婚約をしてきたアリアとエリクス。 しかし、エリクスから婚約破棄を持ちかけられた・・・ 婚約破棄が横行する貴族社会が舞台・・・な、はず。 完結しましたー。

魅力が足りないから婚約破棄!? 酷くないですか!? ~その後隣国の王子に愛されることとなったのです~

四季
恋愛
魅力が足りないから婚約破棄!? 酷くないですか!? その後隣国の王子に愛されることとなったのです。

公爵令嬢は運命の相手を間違える

あおくん
恋愛
エリーナ公爵令嬢は、幼い頃に決められた婚約者であるアルベルト王子殿下と仲睦まじく過ごしていた。 だが、学園へ通うようになるとアルベルト王子に一人の令嬢が近づくようになる。 アルベルト王子を誑し込もうとする令嬢と、そんな令嬢を許すアルベルト王子にエリーナは自分の心が離れていくのを感じた。 だがエリーナは既に次期王妃の座が確約している状態。 今更婚約を解消することなど出来るはずもなく、そんなエリーナは女に現を抜かすアルベルト王子の代わりに帝王学を学び始める。 そんなエリーナの前に一人の男性が現れた。 そんな感じのお話です。

「君が大嫌いだ」といったあなたのその顔があまりに悲しそうなのは何故ですか?

しがわか
恋愛
エリックと婚約発表をするはずだったその日、集まった招待客の前で言われたのは思いがけないセリフだった。 「君が大嫌いだった」 そういった彼の顔はなぜかとても悲しそうだった。 哀しみにくれて帰宅した私は妹に悲嘆を打ち明ける。 けれど妹はあの日から目を覚まさないままで——。 何故彼は私を拒絶したのか。 そして妹が目覚めない理由とは。 2つの答えが重なるとき、2人はまた1つになる。

だってわたくし、悪役令嬢だもの

歩芽川ゆい
恋愛
 ある日、グラティオーソ侯爵家のラピダメンテ令嬢は、部屋で仕事中にいきなり婚約者の伯爵令息とその腕にしがみつく男爵令嬢の来襲にあった。    そしていきなり婚約破棄を言い渡される。 「お前のような悪役令嬢との婚約を破棄する」と。