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前編
しおりを挟む私が生まれた家は薬屋だった。
どこの町にでも大抵一軒はある薬屋。
父がそれを営んでいる家にて生まれた。
そんな家庭環境もあって、私は幼い頃から薬草やら何やら薬の材料となるものたちに親しみを持って育ってきた。父の手伝いをすることもあったので、簡単な薬であれば作ることだってできる。友人のために薬草を摘んで感謝されたことだってあった。
だが。
「お前みたいな趣味が女性らしくない女はやはり無理だ。それに、そんなのが妻になったら俺が恥をかくことになる。しかも一生。そんなことには耐えられない……ということで! お前との婚約は破棄する!」
婚約者オードブレには私が薬に詳しいことを良く思ってもらえず。
ただ否定されるのみならず、婚約破棄されてしまった。
薬は怪しいものではないのに……。
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でも、分かってくれない人に何を言っても変わりはしないだろうと思うので、彼に分かってもらおうとするのはやめた。
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