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前編

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 私、リリィ・フロマージュは、そこそこ地位のある家柄に生まれた娘。
 その身分ゆえに、私は結婚することを求められ、親が決めた男性と婚約することとなった。

 それが数ヶ月前の話。

「リリィ・フロマージュ、君のような勉強にしか興味がないような女とは生きてゆけない。悪いが、婚約破棄させてもらう」

 今日、私は、親が決めた婚約者アダムスからそう告げられてしまった。

 確かに私は普通の女性たちとは違うかもしれない。あまり恋愛には興味がないし。けれども、彼に不快な思いをさせないように一応気をつけてはきたつもり。だがそれも意味をなさなかったようだ。

「そうですか……分かりました」
「さらばだ、リリィ」

 こうして私はアダムスと離れることとなった。
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