愛してるって言ってくれていたのに、どうやらあれは嘘だったようです。……分かっていますよ、信じていた私が悪かったのです。

四季

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後編

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 彼の言葉を無条件に信じていた私が悪かった。
 そう思うことで心を落ち着けて。
 切ない思いを抱えながら実家にて静かに過ごした。

 だが、そんな私にも素敵な出会いに巡り合える日は来た。

 実家の庭を整える仕事で定期的にやって来る男性に私がお茶を出したことで知り合いになり、共通の趣味があることが発覚したこともあってよく話すようになって、そのうちに親しさを増してゆき――三年もかからず結婚するに至った。

 エルバスに裏切られてから二年数ヶ月が経った現在、私は、庭の整備の仕事をしている夫と共に穏やかに暮らしている。

 夫は気さくな人だ。しかし他者の心に過剰に踏み込むようなしない。もちろん、悪気なく傷つけるようなこともしない。明るく勢いがありながらも配慮のある人である。

 だから彼を信じている。

 彼のことなら信頼できる。
 今はそう思えている。

 ちなみにエルバスはというと――あの婚約破棄から数週間後に他の女性と婚約し結婚もしたそうだが、結婚した途端に豹変し気が強くなった妻に尻に敷かれ暴言のような言葉までやたらと吐かれたそうだ。

 その結果、エルバスは心を病み、結婚から一年も経たないうちに離婚したそうだ。

 けれどもそれでエルバスの心が回復することもなく。
 今では彼は壊れきってしまっているそうで。
 喋ることもできず、食事もろくにできず、すべてにおいて楽しいと感じることもできず、ゴミ捨て場の人形のような状態らしい。


◆終わり◆
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