1 / 13
1話「城から追い出され」
しおりを挟む
私アイリーン・コレストには婚約者がいる。
そう、この国の王子である人だ。
貴い人とされている彼の名はオーウェン・ディル・ブリッジ。
将来国王となることを約束された青年。
彼が私を気に入ったことがこの関係の始まりだった。そして今、正式に彼の婚約者となっているが、そのことを良く思っていない人が実は一人いる。それは、オーウェンの妹である、メルリナ姫だ。彼女は出会って間もなくから現在まで私を酷く嫌っている。メルリナが周りに「髪色が一緒で最悪」などと言っていることを知ったいた時には、そこまで嫌われているのか、と、かなり驚いた記憶がある。
それでもまぁそれなりにやっていければと思っていたのだが。
「アイリーン・コレスト! お前との婚約は破棄とする!」
ある日突然宣言される。
「オーウェンさん、一体何が……?」
「妹から、メルリナから、話を聞いたんだ。お前、裏で彼女に嫌がらせしていたそうだな」
彼はそんなことを言うけれど、まったくもって心当たりがない。
「何の話でしょうか」
「認めろ!」
「待ってください、恐らくそれは事実ではありません」
「認めないか!」
「嘘を事実と認めることなどできません」
そこへ、メルリナが現れる。
「お兄様! 騙されないで! その女は嘘をついているのよ!」
「メルリナ」
「アイリーン、貴女、もう許さないわよ!」
ええ……、本人まで参加してくる……?
二人して嘘を使って攻撃してくるなんて。どうしてそんなことがしたいのか、私には理解ができない。何がどうなっていればそんなことをしようと思えるのか、謎でしかない。
「ほらな、メルリナも言っているだろう」
「心当たりがありません」
「我が妹を嘘つき呼ばわりするな!」
「嘘つき呼ばわり、なんて、そんなつもりはありません。しかし、私は、本当に虐めていないのです。人違いでは――」
「お兄様信じないで!! 間違いなく、あたくしを虐めたのは彼女よ!!」
いや、本当に、一体何がどうなっているのだろう?
「そういうことだ。だから婚約は破棄とする。アイリーン、お前は速やかにここから去れ。城から出ていけ」
「そんな……」
「何だ? 口ごたえする気か? そんなことは許さん!」
「そうですか……分かりました」
そう言うしかなかった。
だってそう言うことでしか話が進まないから。
「ですが勘違いしないでください。私は本当に、一度も、虐めなどしていませんので」
こうして私は城から追放されることとなった。
用意されていた馬車、それは最後の優しさだったのかもしれない。
私はそれに乗って実家へ戻る。
生涯で最大の悲しい旅。
いや、旅ではないが、大移動だ。
しかし、まさか、こんなことになるなんて……。
メルリナに嫌われていることは知っていたけれど、ここまで露骨に嘘をつかれ悪者にされるとは思わなかった。
刹那、キキィと音がして、馬車が停止した。
「え……?」
直後、扉が開き、全身のグレーの布で包んだ正体不明の人物が入ってくる。
「ウゴクナ!」
「ジットシロ!」
何が起きた?
これは一体?
はてなマークに埋もれているうちに、私は気絶させられた。
そう、この国の王子である人だ。
貴い人とされている彼の名はオーウェン・ディル・ブリッジ。
将来国王となることを約束された青年。
彼が私を気に入ったことがこの関係の始まりだった。そして今、正式に彼の婚約者となっているが、そのことを良く思っていない人が実は一人いる。それは、オーウェンの妹である、メルリナ姫だ。彼女は出会って間もなくから現在まで私を酷く嫌っている。メルリナが周りに「髪色が一緒で最悪」などと言っていることを知ったいた時には、そこまで嫌われているのか、と、かなり驚いた記憶がある。
それでもまぁそれなりにやっていければと思っていたのだが。
「アイリーン・コレスト! お前との婚約は破棄とする!」
ある日突然宣言される。
「オーウェンさん、一体何が……?」
「妹から、メルリナから、話を聞いたんだ。お前、裏で彼女に嫌がらせしていたそうだな」
彼はそんなことを言うけれど、まったくもって心当たりがない。
「何の話でしょうか」
「認めろ!」
「待ってください、恐らくそれは事実ではありません」
「認めないか!」
「嘘を事実と認めることなどできません」
そこへ、メルリナが現れる。
「お兄様! 騙されないで! その女は嘘をついているのよ!」
「メルリナ」
「アイリーン、貴女、もう許さないわよ!」
ええ……、本人まで参加してくる……?
二人して嘘を使って攻撃してくるなんて。どうしてそんなことがしたいのか、私には理解ができない。何がどうなっていればそんなことをしようと思えるのか、謎でしかない。
「ほらな、メルリナも言っているだろう」
「心当たりがありません」
「我が妹を嘘つき呼ばわりするな!」
「嘘つき呼ばわり、なんて、そんなつもりはありません。しかし、私は、本当に虐めていないのです。人違いでは――」
「お兄様信じないで!! 間違いなく、あたくしを虐めたのは彼女よ!!」
いや、本当に、一体何がどうなっているのだろう?
「そういうことだ。だから婚約は破棄とする。アイリーン、お前は速やかにここから去れ。城から出ていけ」
「そんな……」
「何だ? 口ごたえする気か? そんなことは許さん!」
「そうですか……分かりました」
そう言うしかなかった。
だってそう言うことでしか話が進まないから。
「ですが勘違いしないでください。私は本当に、一度も、虐めなどしていませんので」
こうして私は城から追放されることとなった。
用意されていた馬車、それは最後の優しさだったのかもしれない。
私はそれに乗って実家へ戻る。
生涯で最大の悲しい旅。
いや、旅ではないが、大移動だ。
しかし、まさか、こんなことになるなんて……。
メルリナに嫌われていることは知っていたけれど、ここまで露骨に嘘をつかれ悪者にされるとは思わなかった。
刹那、キキィと音がして、馬車が停止した。
「え……?」
直後、扉が開き、全身のグレーの布で包んだ正体不明の人物が入ってくる。
「ウゴクナ!」
「ジットシロ!」
何が起きた?
これは一体?
はてなマークに埋もれているうちに、私は気絶させられた。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
171
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる