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後編
しおりを挟む――そしてまた一年半が過ぎ。
スイートポテト専門店が大成功したことで私は大金持ちなった。
先日急に現れたルーゼインが「金持ちになったのなら妻にしたい」と言って血がづいてきたけれど、それは断った。
なぜなら、もう彼に付き合う気はないからだ。
少し申し訳なくは思ったけれど、気持ちだけは正直に言わせてもらった。そこを偽るのは良くないと自分が判断したからだ。心ははっきり言葉にしなければ伝わらないもの、だからこそ、勇気を持って伝えた。
彼は少し粘ったけれど、やがて、諦めて去っていってくれた。
そう、今の私には守るべきものがある。そして、やるべきことが。だからここで立ち止まってはいられないのだ。私は私が望む道を進む、そのために時間をかけるし気合いも注ぐ。他のものにかける時間はない。
ちなみに、ルーゼインはその後、かなり妥協したと思うような相手を妻としたそうだが――二人で暮らすようになってからその妻に尻に敷かれるようになってしまい、今ではほとんど何の権限もないような状態で生きなくてはならなくなってしまっているらしい。
ルーゼインは最初こそ言い返したり喧嘩に持ち込んだりしていたようだが、そのたびに凄まじい反撃をされるために段々無気力になってゆき、今では何を言われても流すという生存戦略に至っているそうだ。
私は己の行きたい道を真っ直ぐに進めた。
彼は結果的に望まない迷宮へと迷い込んでしまった。
――私たちの未来は真逆のようなものだった。
きっともう出会うことはないだろう。
二人の人生、二本の道は、永久に交差することはない。
それでも、彼の人生と私の人生を見て思考する時、人の人生というものがどういうものなのかについて考えさせられる……。
でも、なにはともあれ、好きなことをやっていけるような人生が一番だと私は思う。
◆終わり◆
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