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『ただチーズトーストを食べていただけなのですが……。~やりたいことをやっていれば誰もが強く輝けるものですね~』
とろけるチーズを贅沢にかけたトーストを朝食に食べていたら、婚約者である彼ダワワンにその姿を見られてしまい、ごみを見るような目をされたうえ「うっわムリ。婚約、破棄するわ」とさらりと言われてしまった。
前もって聞いてはいなかったので知らなかったのだが、ダワワンは、小さい頃にチーズで火傷したことがあったそうでそれ以来溶けているチーズを極度に嫌っているのだそう。
いやいや、そうなら、先に言っておいてよ……。
そんなことを思いながらも。
今さら関係を修復することもできず。
婚約者同士という私たちの関係はあっという間に壊れてしまったのだった。
◆
「こんにちは~」
「いらっしゃいませ! 本日はどの商品でしょう?」
「いつもので、お願いできるかしら」
「承知しました! ではお持ちしますね。しばらくお待ちください!」
あれから数年、私は今、国内初となるチーズ専門店を開き忙しい日々を過ごしている。
「お持ちしました!」
「わ~、嬉しい、ありがとう~。今日も美味しそうね」
「ありがとうございます!」
「このチーズね、孫がすっかり気に入っちゃって。だからまた買いに来るわ。次回もよろしくね」
私は働いている時間が好き。
なぜなら一人で静かにしているよりも輝ける気がするから。
「ありがとうございました! ……あ、次の方、お待たせしました」
「オデ美味いチーズ探してるだ」
「どのようなタイプがお好みでしょう?」
「あー、ぶぶぶ、そだな好きなのはー……トロトロになるやつだ」
「癖のあるお味がお好きですか?」
「んんんーやのののん。普通が好き、ノーマルなチーズが好みと伝えておくだ。良いやつ教えでくれでは嬉しいだ」
ちなみにダワワンはというと、先月食あたりで亡くなった。
「これやこれ、など、この辺りはいかがでしょう?」
「最高!!」
「それは良かったです」
「美味そうなチーズ! チーズチーズチッチチチーズチーズチーチッチチチーズチーズチッチチチーズチーズチッチチチーズチッチチチッチチチチーズーチーズチッチチチッチチチッチチーチーズッズズチーズ! チーズだ! 絶対美味だごのチーズは! 勘で分かるだよ、このチーズは美味いっで!」
ダワワンは帰らぬ人となったのだ。
「ではこちらにしましょうか?」
「お願いじだす!」
もう、生涯、ダワワンと顔を合わせることはない。
「やっだやっだぁ! 嬉しいだよ! わあいーっ! 良いチーズが買えそうで、今はとってもとってもワクワクしてるだ。オデ! 胸が高鳴って! 凄い凄い状態だで! こんな経験初めてで、オデ、ときめいてきただよ! ときめきときめくときときめきめくときめくときめくときめきときめく! ときめくときめくときめきときめきときめくときめきときときめきめきめくときめくめく!」
◆終わり◆
『ちょっとした用事で婚約者の家へ行ったのですが、それによって彼が浮気していることを知ってしまいました。』
婚約者ロレッティオは浮気していた。
「あなたたち、一体何をしているの?」
――その日は突然やって来た。
ちょっとした用事でロレッティオの家へ行った時、ロレッティオはちょうど浮気相手の女性を自宅へ連れ込んでいるところで。
「な、なぜ、お前がここに!?」
「そういう話は後よ」
「まっ……待て! 待ってくれ! 先に質問に答えろ!」
「質問しているのはこちらなのだけれど」
薄着になった長い金髪の乙女を抱き締めながらも動揺を隠せないロレッティオの顔は眺めていると少し面白くて。
けれどもこんなあからさまな浮気を見て見ぬふりしてあげることはさすがにできないのでしっかりと突っ込ませてもらう。
「まずは話を聞かせて」
「あ、ああ……分かった、説明する……だから、親には言わないでくれ」
「言うわよ」
「なっ!?」
「だって婚約破棄する予定だもの」
「ふ、ふざけるな! そんなこと! そんな勝手なこと、悪質過ぎる。許されることじゃないぞ!」
ロレッティオはもうとにかく必死。
「悪質? それはそっちでしょう」
だが何を言われようがこちらが折れてあげる必要なんてない。
「すべて話すわよ、貴方のご両親にはね」
その後私は事情を説明した。
急に忙しくなり、いろんな意味で時間はかかったが、彼の両親は真剣に話を聞いてくれたのでその点はとてもありがたかった。
そして予定通りロレッティオとの婚約は破棄。
ロレッティオは泣いて「許してくれ! 一時の気の迷いだったんだ!」とか「ちょっとした出来心で……彼女とは本気じゃない、本気じゃなかった!」とか言っていたけれどそれは無視した。
また、ロレッティオと浮気相手の女性に慰謝料を支払いを請求。
償いはしっかりとしてもらう。
そこは譲れない。
こちらは理不尽に心を傷つけられたのだから、何の償いもないまま彼らを解放することなどできはしないのだ。
そうやってすべてに決着をつけることで、私はようやく未来へと進める――面倒臭いことでも心折れず頑張るのだ――それは未来の私を救うための行動だから。
◆
時は流れた。
多くの季節が過ぎ去った。
婚約破棄からちょうど五年になる今日、私は、愛している人と結婚する。
かつて私を傷つけた者たちは皆揃って滅んだ。
婚約者だった彼ロレッティオはある時路上で謎の男に襲われて金目のものを奪われたうえ死亡、浮気相手だった金髪の乙女はロレッティオの死によって心を病みやがて自ら死を選んだそうだ。
――悪はこの世から消え去った。
◆終わり◆
『寒い昼下がり、婚約者の彼から呼び出されました。そしてそこで告げられたのは……。』
雪降る日、寒い昼下がり。
婚約者ダモスに呼び出されたので厚着をして彼の家へ向かったのだが。
「君との婚約だが、破棄とすることとするよ」
彼はいきなり告げてきた。
関係を終わらせる言葉を。
「え……」
「だから婚約破棄だって」
「ええっ」
「うるさいな! 婚約破棄だって言ってるだろ!」
ダモスは突然鋭く言い放ってくる。
「一回で理解しろよ! 馬鹿か!」
こうして私たちの関係は終わった。
◆
婚約破棄された日から数年。
私はそこそこ良い家柄の男性と結婚した。
出会ってすぐの頃から、彼は私を大切にしてくれていた。そして純粋に愛してくれた。優しくしてくれるし、思いやりを持った接し方をしてくれるし、何より私を一人の人間として扱ってくれる。だからこそこちらも安心して彼を見つめることができるのだ。
一方ダモスはというと。
あの後、若干暇になったために派手に女遊びをしていたそうなのだがその中で不治の病を貰ってしまったらしく、やがてそれが悪化し落命するに至ったそうだ。
ダモスは幸せになれないままこの世を去った。
だがきっとそれもまた運命。
ならば他の道はなかったのだろう。
◆終わり◆
『私の婚約者は心ないことばかり言ってくるうえなぜかいつも鼻水を垂らしています……。~幸せへの道は必ずあるはずです~』
私の婚約者は心ないことばかり言ってくる人だ。
彼は完全に私のことを舐めていて、常に見下し、何をしても何を言っても許される相手であると思っている様子。
その思い込みはかなり凄まじいもので。
彼の中には私も人間であるという発想が欠片ほどもない。
町でたまたま会った時でさえ「おっ、馬鹿顔女じゃ~ん」などと悪意たっぷりに嫌みを言ってくるほどだ。
そんな彼、ラウスト・リッディーガンは、いつも鼻水が垂れている。ゆえに、周りからすれば私よりも彼の方がずっと変わり者だ。ただ、本人は少しも気にしていないようで。彼の場合、自分のおかしさにはまったくもって気づいていないようである。
「お前との婚約だけどさ、破棄するわ」
「え」
「だーかーら! 婚約破棄するって言ってんの!」
「……本気で仰っているのですか?」
「当たり前! 冗談なわけないじゃ~ん。本気だよ、本気! ホ! ン! キ!」
いきなりのことに戸惑いながらも話を聞いてみておくことにしたのだが。
「お前はさ、俺には相応しくない女だよ。ぱっとしないし、馬鹿面だし。だからお前とは切る。オーケェ? 分かってきた? じゃ、そーいうことで! ばいっば~い!」
大人しく聞いていたら、そのまま話が終わってしまう。
ラウストはがに股で左右に揺れ動くような動きをしながらあっという間に私の前から走り去っていった。
まさかこんな形で関係が終わるなんて。
これはさすがに想定していなかった。
……が、悲しくはない。
なぜなら、私はもうずっと前から彼を愛していなかったからだ。
嫌な言葉をかけてくる。
失礼なことをやたらとしてくる。
そんなラウストのことは嫌いだった。
だから、驚きはしたけれど、あくまでそれだけで。それ以上の感情、特に悲しみに近い感情が生まれることはなかった。元々嫌いだった人を失う、それは大して辛いことではないのだ。正直なところを言うなら、まぁどうでもいいから好きにして、くらいのものである。
結婚しても嫌なことをされ続けることは目に見えている。
ならば早めに離れる方が良い。
きっとその方が私の未来は明るくなるのだから。
◆
あれから三ヶ月。
深く考えずに結婚相手を見つける会に参加したのだが、そこで意外な最高の出会いがあり、私の人生は大きく動き出すこととなっていっている。
今はまだ道の途中だ。
けれども、希望ある明日を、未来を、見据えることは確かにできている。
だから大丈夫。
真っ直ぐに生きていれば、きっと、幸せという日射しを浴びながら歩める。
ちなみにラウストはというと。
あの後好きになった女性に告白するも「鼻垂れ小僧はちょっと……」と言われ拒否されてしまったらしく、それにショックを受けた彼は、自らこの世を去ることを選んだそうだ。
とても、とても……言葉も出ないくらい、呆気ない最期だったようだ。
◆終わり◆
とろけるチーズを贅沢にかけたトーストを朝食に食べていたら、婚約者である彼ダワワンにその姿を見られてしまい、ごみを見るような目をされたうえ「うっわムリ。婚約、破棄するわ」とさらりと言われてしまった。
前もって聞いてはいなかったので知らなかったのだが、ダワワンは、小さい頃にチーズで火傷したことがあったそうでそれ以来溶けているチーズを極度に嫌っているのだそう。
いやいや、そうなら、先に言っておいてよ……。
そんなことを思いながらも。
今さら関係を修復することもできず。
婚約者同士という私たちの関係はあっという間に壊れてしまったのだった。
◆
「こんにちは~」
「いらっしゃいませ! 本日はどの商品でしょう?」
「いつもので、お願いできるかしら」
「承知しました! ではお持ちしますね。しばらくお待ちください!」
あれから数年、私は今、国内初となるチーズ専門店を開き忙しい日々を過ごしている。
「お持ちしました!」
「わ~、嬉しい、ありがとう~。今日も美味しそうね」
「ありがとうございます!」
「このチーズね、孫がすっかり気に入っちゃって。だからまた買いに来るわ。次回もよろしくね」
私は働いている時間が好き。
なぜなら一人で静かにしているよりも輝ける気がするから。
「ありがとうございました! ……あ、次の方、お待たせしました」
「オデ美味いチーズ探してるだ」
「どのようなタイプがお好みでしょう?」
「あー、ぶぶぶ、そだな好きなのはー……トロトロになるやつだ」
「癖のあるお味がお好きですか?」
「んんんーやのののん。普通が好き、ノーマルなチーズが好みと伝えておくだ。良いやつ教えでくれでは嬉しいだ」
ちなみにダワワンはというと、先月食あたりで亡くなった。
「これやこれ、など、この辺りはいかがでしょう?」
「最高!!」
「それは良かったです」
「美味そうなチーズ! チーズチーズチッチチチーズチーズチーチッチチチーズチーズチッチチチーズチーズチッチチチーズチッチチチッチチチチーズーチーズチッチチチッチチチッチチーチーズッズズチーズ! チーズだ! 絶対美味だごのチーズは! 勘で分かるだよ、このチーズは美味いっで!」
ダワワンは帰らぬ人となったのだ。
「ではこちらにしましょうか?」
「お願いじだす!」
もう、生涯、ダワワンと顔を合わせることはない。
「やっだやっだぁ! 嬉しいだよ! わあいーっ! 良いチーズが買えそうで、今はとってもとってもワクワクしてるだ。オデ! 胸が高鳴って! 凄い凄い状態だで! こんな経験初めてで、オデ、ときめいてきただよ! ときめきときめくときときめきめくときめくときめくときめきときめく! ときめくときめくときめきときめきときめくときめきときときめきめきめくときめくめく!」
◆終わり◆
『ちょっとした用事で婚約者の家へ行ったのですが、それによって彼が浮気していることを知ってしまいました。』
婚約者ロレッティオは浮気していた。
「あなたたち、一体何をしているの?」
――その日は突然やって来た。
ちょっとした用事でロレッティオの家へ行った時、ロレッティオはちょうど浮気相手の女性を自宅へ連れ込んでいるところで。
「な、なぜ、お前がここに!?」
「そういう話は後よ」
「まっ……待て! 待ってくれ! 先に質問に答えろ!」
「質問しているのはこちらなのだけれど」
薄着になった長い金髪の乙女を抱き締めながらも動揺を隠せないロレッティオの顔は眺めていると少し面白くて。
けれどもこんなあからさまな浮気を見て見ぬふりしてあげることはさすがにできないのでしっかりと突っ込ませてもらう。
「まずは話を聞かせて」
「あ、ああ……分かった、説明する……だから、親には言わないでくれ」
「言うわよ」
「なっ!?」
「だって婚約破棄する予定だもの」
「ふ、ふざけるな! そんなこと! そんな勝手なこと、悪質過ぎる。許されることじゃないぞ!」
ロレッティオはもうとにかく必死。
「悪質? それはそっちでしょう」
だが何を言われようがこちらが折れてあげる必要なんてない。
「すべて話すわよ、貴方のご両親にはね」
その後私は事情を説明した。
急に忙しくなり、いろんな意味で時間はかかったが、彼の両親は真剣に話を聞いてくれたのでその点はとてもありがたかった。
そして予定通りロレッティオとの婚約は破棄。
ロレッティオは泣いて「許してくれ! 一時の気の迷いだったんだ!」とか「ちょっとした出来心で……彼女とは本気じゃない、本気じゃなかった!」とか言っていたけれどそれは無視した。
また、ロレッティオと浮気相手の女性に慰謝料を支払いを請求。
償いはしっかりとしてもらう。
そこは譲れない。
こちらは理不尽に心を傷つけられたのだから、何の償いもないまま彼らを解放することなどできはしないのだ。
そうやってすべてに決着をつけることで、私はようやく未来へと進める――面倒臭いことでも心折れず頑張るのだ――それは未来の私を救うための行動だから。
◆
時は流れた。
多くの季節が過ぎ去った。
婚約破棄からちょうど五年になる今日、私は、愛している人と結婚する。
かつて私を傷つけた者たちは皆揃って滅んだ。
婚約者だった彼ロレッティオはある時路上で謎の男に襲われて金目のものを奪われたうえ死亡、浮気相手だった金髪の乙女はロレッティオの死によって心を病みやがて自ら死を選んだそうだ。
――悪はこの世から消え去った。
◆終わり◆
『寒い昼下がり、婚約者の彼から呼び出されました。そしてそこで告げられたのは……。』
雪降る日、寒い昼下がり。
婚約者ダモスに呼び出されたので厚着をして彼の家へ向かったのだが。
「君との婚約だが、破棄とすることとするよ」
彼はいきなり告げてきた。
関係を終わらせる言葉を。
「え……」
「だから婚約破棄だって」
「ええっ」
「うるさいな! 婚約破棄だって言ってるだろ!」
ダモスは突然鋭く言い放ってくる。
「一回で理解しろよ! 馬鹿か!」
こうして私たちの関係は終わった。
◆
婚約破棄された日から数年。
私はそこそこ良い家柄の男性と結婚した。
出会ってすぐの頃から、彼は私を大切にしてくれていた。そして純粋に愛してくれた。優しくしてくれるし、思いやりを持った接し方をしてくれるし、何より私を一人の人間として扱ってくれる。だからこそこちらも安心して彼を見つめることができるのだ。
一方ダモスはというと。
あの後、若干暇になったために派手に女遊びをしていたそうなのだがその中で不治の病を貰ってしまったらしく、やがてそれが悪化し落命するに至ったそうだ。
ダモスは幸せになれないままこの世を去った。
だがきっとそれもまた運命。
ならば他の道はなかったのだろう。
◆終わり◆
『私の婚約者は心ないことばかり言ってくるうえなぜかいつも鼻水を垂らしています……。~幸せへの道は必ずあるはずです~』
私の婚約者は心ないことばかり言ってくる人だ。
彼は完全に私のことを舐めていて、常に見下し、何をしても何を言っても許される相手であると思っている様子。
その思い込みはかなり凄まじいもので。
彼の中には私も人間であるという発想が欠片ほどもない。
町でたまたま会った時でさえ「おっ、馬鹿顔女じゃ~ん」などと悪意たっぷりに嫌みを言ってくるほどだ。
そんな彼、ラウスト・リッディーガンは、いつも鼻水が垂れている。ゆえに、周りからすれば私よりも彼の方がずっと変わり者だ。ただ、本人は少しも気にしていないようで。彼の場合、自分のおかしさにはまったくもって気づいていないようである。
「お前との婚約だけどさ、破棄するわ」
「え」
「だーかーら! 婚約破棄するって言ってんの!」
「……本気で仰っているのですか?」
「当たり前! 冗談なわけないじゃ~ん。本気だよ、本気! ホ! ン! キ!」
いきなりのことに戸惑いながらも話を聞いてみておくことにしたのだが。
「お前はさ、俺には相応しくない女だよ。ぱっとしないし、馬鹿面だし。だからお前とは切る。オーケェ? 分かってきた? じゃ、そーいうことで! ばいっば~い!」
大人しく聞いていたら、そのまま話が終わってしまう。
ラウストはがに股で左右に揺れ動くような動きをしながらあっという間に私の前から走り去っていった。
まさかこんな形で関係が終わるなんて。
これはさすがに想定していなかった。
……が、悲しくはない。
なぜなら、私はもうずっと前から彼を愛していなかったからだ。
嫌な言葉をかけてくる。
失礼なことをやたらとしてくる。
そんなラウストのことは嫌いだった。
だから、驚きはしたけれど、あくまでそれだけで。それ以上の感情、特に悲しみに近い感情が生まれることはなかった。元々嫌いだった人を失う、それは大して辛いことではないのだ。正直なところを言うなら、まぁどうでもいいから好きにして、くらいのものである。
結婚しても嫌なことをされ続けることは目に見えている。
ならば早めに離れる方が良い。
きっとその方が私の未来は明るくなるのだから。
◆
あれから三ヶ月。
深く考えずに結婚相手を見つける会に参加したのだが、そこで意外な最高の出会いがあり、私の人生は大きく動き出すこととなっていっている。
今はまだ道の途中だ。
けれども、希望ある明日を、未来を、見据えることは確かにできている。
だから大丈夫。
真っ直ぐに生きていれば、きっと、幸せという日射しを浴びながら歩める。
ちなみにラウストはというと。
あの後好きになった女性に告白するも「鼻垂れ小僧はちょっと……」と言われ拒否されてしまったらしく、それにショックを受けた彼は、自らこの世を去ることを選んだそうだ。
とても、とても……言葉も出ないくらい、呆気ない最期だったようだ。
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