異世界恋愛短編集 ~婚約破棄されても幸せになることはできます~

四季

文字の大きさ
74 / 273

二十二歳なのに独特の口調で喋る婚約者に切り捨てられてしまいました。しかし彼はその後間もなく……。

しおりを挟む
「お主との婚約は破棄とするぞよ」

 婚約者オッシリヤァ・ワシガトップはある日突然そんな宣言をしてきた。

「わしに相応しい乙女とはお主ではない。よって、お主とはここまでとする。わしはより良い未来のためにより良い乙女を選ぶことに決めたのだ。ということで、さらばじゃ」

 実年齢は二十二歳の彼だが、昔から口調にはこだわりがあるそうで、彼は長年こういった謎の多い喋り方をしている。

「永遠に、さらばじゃ」

 こうしてオッシリヤァは二人の関係を一方的に終わらせたのだった。


 ◆


 婚約破棄された日から一週間。
 私のもとに届いたのはオッシリヤァの訃報であった。

 彼はあの後少しして家の階段からうっかり転落してしまったそう。で、そのままあの世へ逝ってしまったのだそうだ。

 あまりにもあっさりとした最期であった。

 より良い未来のために私を切り捨てた彼がまだ二十代前半という若さでこの世を去ることになるとは……皮肉なものだ。


◆終わり◆
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。 しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。 自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。 夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか? 迷いながらもユートリーは動き出す。 サスペンス要素ありの作品です。 設定は緩いです。 6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。

婚約破棄? 国外追放?…ええ、全部知ってました。地球の記憶で。でも、元婚約者(あなた)との恋の結末だけは、私の知らない物語でした。

aozora
恋愛
クライフォルト公爵家の令嬢エリアーナは、なぜか「地球」と呼ばれる星の記憶を持っていた。そこでは「婚約破棄モノ」の物語が流行しており、自らの婚約者である第一王子アリステアに大勢の前で婚約破棄を告げられた時も、エリアーナは「ああ、これか」と奇妙な冷静さで受け止めていた。しかし、彼女に下された罰は予想を遥かに超え、この世界での記憶、そして心の支えであった「地球」の恋人の思い出までも根こそぎ奪う「忘却の罰」だった……

これで、私も自由になれます

たくわん
恋愛
社交界で「地味で会話がつまらない」と評判のエリザベート・フォン・リヒテンシュタイン。婚約者である公爵家の長男アレクサンダーから、舞踏会の場で突然婚約破棄を告げられる。理由は「華やかで魅力的な」子爵令嬢ソフィアとの恋。エリザベートは静かに受け入れ、社交界の噂話の的になる。

離婚します!~王妃の地位を捨てて、苦しむ人達を助けてたら……?!~

琴葉悠
恋愛
エイリーンは聖女にしてローグ王国王妃。 だったが、夫であるボーフォートが自分がいない間に女性といちゃついている事実に耐えきれず、また異世界からきた若い女ともいちゃついていると言うことを聞き、離婚を宣言、紙を書いて一人荒廃しているという国「真祖の国」へと向かう。 実際荒廃している「真祖の国」を目の当たりにして決意をする。

学園は悪役令嬢に乗っ取られた!

こもろう
恋愛
王立魔法学園。その学園祭の初日の開会式で、事件は起こった。 第一王子アレクシスとその側近たち、そして彼らにエスコートされた男爵令嬢が壇上に立ち、高々とアレクシス王子と侯爵令嬢ユーフェミアの婚約を破棄すると告げたのだ。ユーフェミアを断罪しはじめる彼ら。しかしユーフェミアの方が上手だった? 悪役にされた令嬢が、王子たちにひたすらざまあ返しをするイベントが、今始まる。 登場人物に真っ当な人間はなし。ご都合主義展開。

【完結】あなたが妹を選んだのです…後悔しても遅いですよ?

なか
恋愛
「ローザ!!お前との結婚は取り消しさせてもらう!!」 結婚式の前日に彼は大きな声でそう言った 「なぜでしょうか?ライアン様」 尋ねる私に彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべ 私の妹マリアの名前を呼んだ 「ごめんなさいお姉様~」 「俺は真実の愛を見つけたのだ!」 真実の愛? 妹の大きな胸を見ながら言うあなたに説得力の欠片も 理性も感じられません 怒りで拳を握る 明日に控える結婚式がキャンセルとなればどれだけの方々に迷惑がかかるか けど息を吐いて冷静さを取り戻す 落ち着いて これでいい……ようやく終わるのだ 「本当によろしいのですね?」 私の問いかけに彼は頷く では離縁いたしまししょう 後悔しても遅いですよ? これは全てあなたが選んだ選択なのですから

公爵令嬢ジュスティーヌ・アフレは美しいモノが好き

喜楽直人
恋愛
学園の卒業式後に開かれたパーティーの席で、王太子が婚約者である公爵令嬢の名前を呼ぶ。 その腕に可憐な子爵令嬢を抱き寄せて。

『龍の生け贄婚』令嬢、夫に溺愛されながら、自分を捨てた家族にざまぁします

卯月八花
恋愛
公爵令嬢ルディーナは、親戚に家を乗っ取られ虐げられていた。 ある日、妹に魔物を統べる龍の皇帝グラルシオから結婚が申し込まれる。 泣いて嫌がる妹の身代わりとして、ルディーナはグラルシオに嫁ぐことになるが――。 「だからお前なのだ、ルディーナ。俺はお前が欲しかった」 グラルシオは実はルディーナの曾祖父が書いたミステリー小説の熱狂的なファンであり、直系の子孫でありながら虐げられる彼女を救い出すために、結婚という名目で呼び寄せたのだ。 敬愛する作家のひ孫に眼を輝かせるグラルシオ。 二人は、強欲な親戚に奪われたフォーコン公爵家を取り戻すため、奇妙な共犯関係を結んで反撃を開始する。 これは不遇な令嬢が最強の龍皇帝に溺愛され、捨てた家族に復讐を果たす大逆転サクセスストーリーです。 (ハッピーエンド確約/ざまぁ要素あり/他サイト様にも掲載中) もし面白いと思っていただけましたら、お気に入り登録・いいねなどしていただけましたら、作者の大変なモチベーション向上になりますので、ぜひお願いします!

処理中です...