86 / 273
ある朝、目を覚ましたら……。〜身勝手な彼には天罰が下ったようですね〜
しおりを挟む
ある朝、目を覚ましたらベッドの脇に婚約者である青年ロデデがいて、信じられない出来事に言葉を失っていたら婚約破棄を宣言された。
「君はさ、寝顔が可愛くないよね。だから関係は終わりにするよ。はいおしまい、ってやつ。オケ? じゃ、そういうことで、さようなら~」
ロデデは身勝手に言いたいことだけ言って去っていってしまった。
一人、静寂に残される。
何だこれは……?
何が起こった……?
意味を理解する間もなく、時だけが過ぎ去っていった。
◆
あの婚約破棄事件から一週間。
噂でロデデが亡くなったことを知った。
彼はあの日、婚約破棄を告げられたことが嬉しかったために凄まじい勢いで街を駆け抜けたそうなのだが、周りをきちんと見ていなかったために馬車とぶつかってしまったそう。で、即死はしなかったものの負傷してしまい。それから数日が経った朝、彼は、帰らぬ人となってしまったそうだ。死因は明確にはなっていないようだが、恐らく事故の際の負傷が関係しているのではないか、という話になっているようである。
……ああ、きっと、天罰が下ったのだろう。
他者を傷つけることをして、周りに迷惑をかけることをして、それでも自分だけは幸せになるなんてそんな奇跡は起こらなかったようだ。
だが、まぁ、そうなって良かったのかもしれない。
なぜならこちらがすっとした気分で未来へ進めるから。
心ない者には天罰が下った。
それはある意味、世界が、運命が、彼の行動が悪であったと証明したようなもの。
そう考えれば、こちらとしては心救われる部分がある。
◆終わり◆
「君はさ、寝顔が可愛くないよね。だから関係は終わりにするよ。はいおしまい、ってやつ。オケ? じゃ、そういうことで、さようなら~」
ロデデは身勝手に言いたいことだけ言って去っていってしまった。
一人、静寂に残される。
何だこれは……?
何が起こった……?
意味を理解する間もなく、時だけが過ぎ去っていった。
◆
あの婚約破棄事件から一週間。
噂でロデデが亡くなったことを知った。
彼はあの日、婚約破棄を告げられたことが嬉しかったために凄まじい勢いで街を駆け抜けたそうなのだが、周りをきちんと見ていなかったために馬車とぶつかってしまったそう。で、即死はしなかったものの負傷してしまい。それから数日が経った朝、彼は、帰らぬ人となってしまったそうだ。死因は明確にはなっていないようだが、恐らく事故の際の負傷が関係しているのではないか、という話になっているようである。
……ああ、きっと、天罰が下ったのだろう。
他者を傷つけることをして、周りに迷惑をかけることをして、それでも自分だけは幸せになるなんてそんな奇跡は起こらなかったようだ。
だが、まぁ、そうなって良かったのかもしれない。
なぜならこちらがすっとした気分で未来へ進めるから。
心ない者には天罰が下った。
それはある意味、世界が、運命が、彼の行動が悪であったと証明したようなもの。
そう考えれば、こちらとしては心救われる部分がある。
◆終わり◆
1
あなたにおすすめの小説
姉の婚約者と結婚しました。
黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。
式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。
今さら式を中止にするとは言えない。
そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか!
姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。
これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。
それどころか指一本触れてこない。
「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」
ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。
2022/4/8
番外編完結
4人の女
猫枕
恋愛
カトリーヌ・スタール侯爵令嬢、セリーヌ・ラルミナ伯爵令嬢、イネス・フーリエ伯爵令嬢、ミレーユ・リオンヌ子爵令息夫人。
うららかな春の日の午後、4人の見目麗しき女性達の優雅なティータイム。
このご婦人方には共通点がある。
かつて4人共が、ある一人の男性の妻であった。
『氷の貴公子』の異名を持つ男。
ジルベール・タレーラン公爵令息。
絶対的権力と富を有するタレーラン公爵家の唯一の後継者で絶世の美貌を持つ男。
しかしてその本性は冷酷無慈悲の女嫌い。
この国きっての選りすぐりの4人のご令嬢達は揃いも揃ってタレーラン家を叩き出された仲間なのだ。
こうやって集まるのはこれで2回目なのだが、やはり、話は自然と共通の話題、あの男のことになるわけで・・・。
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
カナリア姫の婚約破棄
里見知美
恋愛
「レニー・フローレスとの婚約をここに破棄する!」
登場するや否や、拡声魔道具を使用して第三王子のフランシス・コロネルが婚約破棄の意思を声明した。
レニー・フローレスは『カナリア姫』との二つ名を持つ音楽家で有名なフローレス侯爵家の長女で、彼女自身も歌にバイオリン、ヴィオラ、ピアノにハープとさまざまな楽器を使いこなす歌姫だ。少々ふくよかではあるが、カナリア色の巻毛にけぶるような長いまつ毛、瑞々しい唇が独身男性を虜にした。鳩胸にたわわな二つの山も視線を集め、清楚な中にも女性らしさを身につけ背筋を伸ばして佇むその姿は、まさに王子妃として相応しいと誰もが思っていたのだが。
どうやら婚約者である第三王子は違ったらしい。
この婚約破棄から、国は存亡の危機に陥っていくのだが。
※他サイトでも投稿しています。
【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!
月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、
花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。
姻族全員大騒ぎとなった
【短編】婚約者に虐げられ続けた完璧令嬢は自身で白薔薇を赤く染めた
砂礫レキ
恋愛
オーレリア・ベルジュ公爵令嬢。
彼女は生まれた頃から王妃となることを決められていた。
その為血の滲むような努力をして完璧な淑女として振舞っている。
けれど婚約者であるアラン王子はそれを上辺だけの見せかけだと否定し続けた。
つまらない女、笑っていればいいと思っている。俺には全部分かっている。
会う度そんなことを言われ、何を言っても不機嫌になる王子にオーレリアの心は次第に不安定になっていく。
そんなある日、突然城の庭に呼びつけられたオーレリア。
戸惑う彼女に婚約者はいつもの台詞を言う。
「そうやって笑ってればいいと思って、俺は全部分かっているんだからな」
理不尽な言葉に傷つくオーレリアの目に咲き誇る白薔薇が飛び込んでくる。
今日がその日なのかもしれない。
そう庭に置かれたテーブルの上にあるものを発見して公爵令嬢は思う。
それは閃きに近いものだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる