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1話「婚約者から婚約の破棄を告げられました」
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私――ルビーには婚約者がいた。
彼は私より三つ年上。
でも年齢の差など感じさせない振る舞いで。
人と仲良くなることが得意でない私でもすぐに打ち解けることができたくらい、彼は気さくな人だった。
名はエブシリンという。
彼のことは嫌いではなかった。
いや、むしろ、好きだった。
だから彼と生きられる未来に光を見ていた。
この道の先には幸福が待っているのだと、そう思っていた――その日、その瞬間が、訪れるまでは。
「ルビー、悪いが君と生きていく気はない。婚約は破棄とさせてもらう」
たった今、エブシリンにそう告げられた。
言葉が出てこない。
何を言われているのか理解することさえ容易くはない。
「もう二度と俺の前に現れるな」
抱いていた希望は消し去られてしまった。
そんな絶望の中で一人歩いていた自宅への帰り道、私はふと落ちている手鏡を見つける。
落とし物か何かだろう。
だが周囲に落とし主らしい人影は見当たらない。
不思議に思いながらその手鏡を手に取ると。
「やぁーっ! 拾ってもらえるなんて光栄でっす!」
鏡面から黒いもやが溢れ、そこから、もやで作られた人型の生き物が現れた。
――煙人?
彼は私より三つ年上。
でも年齢の差など感じさせない振る舞いで。
人と仲良くなることが得意でない私でもすぐに打ち解けることができたくらい、彼は気さくな人だった。
名はエブシリンという。
彼のことは嫌いではなかった。
いや、むしろ、好きだった。
だから彼と生きられる未来に光を見ていた。
この道の先には幸福が待っているのだと、そう思っていた――その日、その瞬間が、訪れるまでは。
「ルビー、悪いが君と生きていく気はない。婚約は破棄とさせてもらう」
たった今、エブシリンにそう告げられた。
言葉が出てこない。
何を言われているのか理解することさえ容易くはない。
「もう二度と俺の前に現れるな」
抱いていた希望は消し去られてしまった。
そんな絶望の中で一人歩いていた自宅への帰り道、私はふと落ちている手鏡を見つける。
落とし物か何かだろう。
だが周囲に落とし主らしい人影は見当たらない。
不思議に思いながらその手鏡を手に取ると。
「やぁーっ! 拾ってもらえるなんて光栄でっす!」
鏡面から黒いもやが溢れ、そこから、もやで作られた人型の生き物が現れた。
――煙人?
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