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前編
しおりを挟む昨日、自宅から少しだけ離れた山道で出会った傷ついた熊に似た獣人を助けた。
その時私はあることの帰りだった――そう、あることというのは、婚約者レルヴィツイとの婚約破棄に関する話し合いだ。
それが終わって、はぁと溜め息をつきつつ歩いていたら、負傷した獣人が倒れているところに遭遇したのだ。
ちょっとした思いつきから、声をかけてみた。
……で、その流れのまま、自宅へ連れ帰ることとなったのだ。
まさかの展開だろう?
実際、両親にも驚かれた。
だが獣人が負傷しているという事情を知ってからは両親は否定するようなことは何も言わなくなった。むしろ理解を示し温かく受け入れてくれて。傷ついた獣人の手当てのために色々動いてくれた。
「……僕はボーノといいます、見ての通り獣人です」
熊のような獣人――ボーノは、いかつい見た目のわりには大人しい人だった。
「体調いかがですか?」
「だいぶ良くなりました。昨夜ゆっくり寝せていただけたおかげと思います」
しかも礼儀正しい。
「なら良かった、安心しました」
獣人にも色々いる。
野蛮な人もいると聞くけれど彼はどうやらそうではないようだ。
ま、人間にも色々いるようなもものだろう。
ただ、こんな礼儀正しい獣人なのなら、助けて良かったと思う。
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