2 / 2
後編
しおりを挟む「実は僕、これまで長い間、人間に痛めつけられていたのです。主が誰かと話をしている間に屋敷から何とか脱走はできたものの、これからどうしようかと不安でした。もうこのまま死ぬしかないのかなって……でも違った。貴女のおかげでこうして今生きられています」
ボーノならきっと今後罪なき人を傷つけたりはしないだろう。
「いえいえ、そんな、大層ですよ」
「ですが助けてもらったことは事実です!」
「……は、はい。あ、でも、気にしないでくださいね? 困った時は助け合いだと言うでしょう?」
「あ、ありがとうございます、救われます……」
それから数日、私は、ボーノと別れた。
さすがは獣人、回復が早い。
数日だけとはいえ同じ屋根の下で過ごした彼と別れるのは少し寂しくもあった。けれども、こんな小さなことで彼を縛るのも良くないと思って。だから彼を引き留めはしなかったし、彼が出ていく道を選んだ。
ボーノには、これからは幸せに生きてほしい――そう思う。
◆
一月後、レルヴィツイが亡くなったという話を耳にした。
何でも獣人に殺されたそう。
しかも熊に似た獣人だとか。
もしかして……と思っていたのだが、後に、やはりレルヴィツイはボーノに殺されたのだと分かった。
ただ、厳密には直接的な殺され方をしたわけではなかったようだ。
ボーノがレルヴィツイを脅したところ、レルヴィツイは崖から足を滑らせて転落し、そのまま死亡したということだそうだ。
また、ボーノを虐めていた人間というのはレルヴィツイだった、という話も出てきた。何でもレルヴィツイは獣人を監禁していたぶるのが趣味だそうで、長年、何人もの獣人に対して同じようなことをしてきていたそうだ。
それを聞けばもうレルヴィツイに同情なんてしなかった。
欠片ほども、可哀想とは思わない。
レルヴィツイこそが悪だ。
この国において人間より少し下に見られる傾向のある獣人が相手とはいえ、監禁して酷いことをするなんて、そんな黒い行動は許されるものではない。
◆終わり◆
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
王宮図書館の司書は、第二王子のお気に入りです
碧井 汐桜香
恋愛
格上であるサーベンディリアンヌ公爵家とその令嬢ファメリアについて、蔑んで語るファメリアの婚約者ナッツル・キリグランド伯爵令息。
いつものように友人たちに嘆いていると、第二王子であるメルフラッツォがその会話に混ざってきた。
妹が「この世界って乙女ゲーじゃん!」とかわけのわからないことを言い出した
無色
恋愛
「この世界って乙女ゲーじゃん!」と言い出した、転生者を名乗る妹フェノンは、ゲーム知識を駆使してハーレムを作ろうとするが……彼女が狙った王子アクシオは、姉メイティアの婚約者だった。
静かな姉の中に眠る“狂気”に気付いたとき、フェノンは……
ワザとダサくしてたら婚約破棄されたので隣国に行きます!
satomi
恋愛
ワザと瓶底メガネで三つ編みで、生活をしていたら、「自分の隣に相応しくない」という理由でこのフッラクション王国の王太子であられます、ダミアン殿下であらせられます、ダミアン殿下に婚約破棄をされました。
私はホウショウ公爵家の次女でコリーナと申します。
私の容姿で婚約破棄をされたことに対して私付きの侍女のルナは大激怒。
お父様は「結婚前に王太子が人を見てくれだけで判断していることが分かって良かった」と。
眼鏡をやめただけで、学園内での手の平返しが酷かったので、私は父の妹、叔母様を頼りに隣国のリーク帝国に留学することとしました!
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜
赤紫
恋愛
私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。
絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。
そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。
今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!
望まない相手と一緒にいたくありませんので
毬禾
恋愛
どのような理由を付けられようとも私の心は変わらない。
一緒にいようが私の気持ちを変えることはできない。
私が一緒にいたいのはあなたではないのだから。
私を婚約破棄した国王が処刑されたら、新しい国王の妃になれですって? 喜んで…と言うとでも?
あんど もあ
ファンタジー
幼い頃から王子の婚約者だったアイリスは、他の女性を好きになった王子によって冤罪をかけられて、田舎で平民として生きる事に。
面倒な貴族社会から解放されて、田舎暮らしを満喫しているアイリス。
一方、貴族たちの信頼を失った王子は、国王に即位すると隣国に戦争を仕掛けて敗北。処刑される。
隣国は、アイリスを新しい国王の妃にと言い出すが、それには思惑があって…。
異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです
籠の中のうさぎ
恋愛
日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。
「はー、何もかも投げだしたぁい……」
直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。
十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。
王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。
聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。
そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。
「では、私の愛人はいかがでしょう」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる