表向き善良で超女好きな彼と婚約してしまったことは失敗でした。しかし、問い詰めた結果婚約破棄されてしまったことは、ある意味幸運でした。

四季

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前編

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 破滅の女神、その生まれ変わりとされている私は、幼い頃から周囲から恐れられていた。

 そのこともあって、恋など一度も経験のない人生で。

 だから察知できなかったのかもしれない――声をかけてくれた彼が、快く婚約してくれた彼が、悪質な女好きだということを。

 私の婚約者であった彼フェルドムントは表向きはとても善良な人で。
 多くの人から避けられている私にも明るく接してくれた。
 だから私は彼との結婚を決めたのだ、そして今婚約者同士となっている。

 しかし彼はこれまでも何度も女性関係の面で私を裏切ってきた。

 けれど、私はこれまでずっと、贅沢を言ってはいけない、と思って我慢してきた。

 どうせ誰にも愛されるはずがなかった私だ、婚約してもらえているだけでも幸運と思わなくては――そう自分に言い聞かせてきた。

 だがもう限界!

 というのも、彼が一人の女性と大通りから少し離れた路地でいちゃついているところをこの目で目撃してしまったのである。

「フェルドムントさん! 何をしているのですか!?」

 私は思わず突撃してしまって。

「あ~これ? 遊び。楽しいことは多い方がいいっしょ?」
「酷い……婚約者がいる身で悪びれなくそんなことをするなんて」
「あ? 何だよその目、悪人見るみたいな目しやがって」
「もうすぐ結婚するのですよ!?」
「あ~あ~真面目女はこれだからうぜぇんだよ。ならお前も他の男と遊べば? ま、破滅の女神じゃ無理だろうけどな! だっはは!」

 彼に真剣さなんてものは欠片もなかった。
 こちらは真剣に話しているのに。

「笑い話ではありません!」
「ああ?」
「お願いです、婚約者がいるのですからもうこういうことはやめてください」

 思いきって頼んでみると。

「はぁ!? 俺を独り占めしようなんざ生意気にもほどがある!!」

 フェルドムントは顔を真っ赤にして怒り出した。

 しかも。

「冷静に考えろよ! お前は俺を独占できるほどの魅力的な女じゃねぇだろうが! あ~うぜ、じゃ、もういいわ。婚約、破棄するわ」

 関係の解消まで告げられてしまった。
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