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どうしてこうなった!? ~婚約破棄から始まる世界の破滅~

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 私、愛していたの。

 彼のこと。
 誰よりも、ずっと。

 けれどもその想いは届かずじまい。結局すべては私だけの感情で。ある意味それは一人芝居みたいなもの。愛していた、その想いは、最後まで彼には届かなかったの。

「……君とはもうおしまいにするよ」

 婚約者だった彼。
 愛おしいただ一人の人。

「婚約は、破棄ということにしよう」

 彼は最後、静かにそう言って、二人の関係を終焉へと誘った。

 ――どうやら彼には別の好きな人がいたみたい。

 ああ、そうよね、当然だわ。彼にだって誰かを愛する権利はあるんだもの。私が彼を愛するように、彼もまた誰かを愛する。それは当然のこと、当たり前のことなの。

 ただ、そう分かってはいても、どうしても納得はできなくて。

 だから私は終わらせるわ。
 もうすべてを。
 愛した人、彼ごと、何もかもを終わらせる。

「……さようなら、貴方」

 涙が頬を伝っても、それでも終わらせてしまうの。

 彼が二人の関係を終焉へと誘ったのと同じように、私もまた、この世を終焉へと。

 ――スイッチを押した。

 それはこの世界を終わらせるスイッチ。
 人類を終焉へと誘う。

 そして、私も、彼も、消えてなくなる。

 そうよ、気づけばすべてが無になっているの。

 今度こそ、本当にさようならね。

 愛する人。
 愛しい人。

 ――もう二度と、会うことはないでしょう。


◆終わり◆
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