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前編

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 金髪の婚約者ラーゼンは、婚約相手である私の悪口をこっそり周囲へ言いふらしていた。

 そのことがある時明らかになって、それによって私の父が激怒――怒りの塊のようになった父はラーゼンに婚約破棄を告げる。

「ラーゼン! お前、我が娘の悪口を言いふらすなど何ということだ!」
「え、だってー、事実じゃないですかー」
「嘘も多いだろう! それに、誇張し過ぎだ!」
「知りませんよー。それに、さ、お義父さん? あんなのただのネタですしー」

 途中まで、ラーゼンは半分ふざけたような様子で対応していたのだが。

「ふ……ふざけるな……もういい! こうなったら、婚約は破棄だ!!」

 その態度が余計に父を怒らせた。

 父はもう怒りを抑えられなくなっていて。
 暴走している馬車のような精神状態になっていた。

「えええ!」
「お前のようなやつに娘はやらん! よって、娘とお前の婚約は破棄とする!!」

 そしてその場で私とラーゼンの関係を終わらせる言葉を発した。

 ――こうして私と彼の関係は終わったのであった。
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