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後編
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――あれから数年が経った。
「コルネリア、お茶を淹れたの。よかったら一緒に飲まない? この前買った新しいハーブティーで」
「あら、いいわね。素敵じゃない。いただこうかしら」
私は今、コルネリアと一緒に暮らしている。
「ああ良い香り」
「でしょ!?」
「ええ、これ貴女のおすすめ?」
「この前お店で見て、絶対美味しいだろうなーって思って。それで買ってみたの。飲んでみたことはまだないけど、当たりのやつだろうなって」
女性二人で暮らしているというのは今の時代ではまだ珍しいことだ。
しかし私たちはその道を選んだ。
彼女が経済的に裕福だということもあって生活には特に何も困ってはいない。
むしろ優雅に暮らせていて最高なくらいである。
「そう。じゃあきっと美味しいわね」
「飲んでみて……?」
「いただくわ。……ああ、これ、柔らかくもどこか爽やかな味ね」
アグレに理不尽に婚約破棄されたコルネリアは「もう当分男とは関わらない、もしかしたら一生かも」と言い出して、それで、私は勇気を出して彼女の隣にいることを希望したのだ。
その結果こんな特別な二人になれた。
あの時は少々怖かったけれど。
でも勇気を出して挙手してみて良かったとは思う。
「美味しい?」
「ええ」
「やった! コルネリアに気に入ってもらえて嬉しい!」
「大袈裟よ……、でも本当に良い味してるわよ。貴女も飲んでみるといいわ、きっと気に入るでしょう」
いつか聞いた噂によれば、アグレはあの後コルネリアの実家から制裁を受けたそうだ。受けていた支援も打ち切りになったとか。で、それによってアグレの家はまともに運営できなくなってしまったそうで。アグレも、その両親と妹も、皆路頭に迷うこととなってしまったらしい。
アグレはもう女遊びをする金すら持っていない状態だそう。
これから彼は、ずっと、やりたいことは一切できず貧しさの中で生きてゆくしかないのだ。
◆終わり◆
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