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後編
しおりを挟む「分かりました。では私は去ります。……さようなら」
「ああ! そうしてくれや!」
ルルベルとの関係には終わりが訪れてしまった。
彼と行く道は私にはなかった。
でもそういうことならそれでもいい。
私は私が行くべき道を求めるだけ。
◆
その後音楽家の男性と結婚した。
ある演奏会での出会いが始まりとなり二人の縁は結ばれたのだ。
私と彼が見つめ合うにはそれほど時間はかからなかった。
そうして結婚した私たち。
今は共にいろんな場所へ行って演奏会を兼ねた旅をしている。
彼と一緒にいるようになってから、私は多くのことを学んだ。知らなかったことを知り、興味がなかったことに興味を持つようになって。そうやって、それまでの人生においてはほぼ関係がなかったことに関係を持つようになっていったのだ。また、彼と行く旅の中で、多くの場所や文化を目にしたことで得られたものも多かったと思う。彼のおかげで、私は、知らなかった世界に触れることができた。
彼と出会えたことに感謝。
彼が私を見てくれたことに感謝。
そして。
二人でいられる今に感謝。
ちなみにルルベルはというと、あの後事業を始めるも失敗に終わったらしく、その時の恋人に大笑いされたうえ馬鹿にされたことですっかり自信をなくしてしまったそうで――今は親からも知人からも離れて生活しているらしい。
一応、どこかで生きてはいるようだが……今のところ、誰も彼のことを知らないようだ。
◆終わり◆
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