「君は悪女だな! 顔が! よって、婚約は破棄とする!」って……何なのですか、それ。

四季

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後編

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「好き嫌いはともかく。婚約していおいてそのような理由で婚約破棄というのはさすがに無理すぎませんか」
「無理すぎる? そんなわけないだろう!」

 しかしアダルハーレドはおかしなことを言っているとは少しも思っていない様子だ。

 それゆえ会話が成り立たない。

「では当たり前のことだと?」
「そうだ! 俺の決定は絶対だから、な!」
「はぁ……そうですか、分かりました。では……そういうことで、ここまでとしましょう」

 仕方がないので、彼の望みを受け入れることにした。

 婚約破棄された女となってしまうのは本意ではないが、ここまで話が進んでしまった以上やむを得ない。


 ◆


 ああして終わりを迎えたアダルハーレドとの関係だったが、その先には良いことが待っていた。

 というのも、ある時急にお誘いがあって、ドレスを着て見せるモデルになったのだ。

 そこから私の人生は大きく拓かれた。
 それによって輝かしい世界へと足を踏み出すことができたのである。

 私の人生にようやく光降り注ぐ時がやって来たのだ。

 一方アダルハーレドはというと、あの後も婚約と婚約破棄を何度も繰り返していたようで、そのうちに評判が悪くなり誰からも相手してもらえないようになっていったらしい。

 で、結局誰とも結ばれることはないまま今に至っているのだそうだ。

 また、最近の彼は「結婚なんて……悪いのは女たちだ、見る目がないから」とばかりぼやいていて、女性に過剰に敵対視するようになっているらしい。

 そんな彼には明るい未来なんてないだろう。


◆終わり◆
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