2 / 2
後編
しおりを挟む
仕方がないので私は自分たちの種族の国へ帰ることにした。
人間に直接的な恨みはなかった。戦争も歴史的なものだから私とは別の話、そう思っていた。だからこそ、人間と結ばれる役を背負うことにも耐えられると思っていたし、なんなら楽しく暮らせるかもしれないとも考えていた。
けれどもすべては幻想だったと分かった。
私はもう人間を擁護はしない。
たとえ、すべての人間が悪ではないとしても、だ。
親が待つ家へ帰った私は、全部を隠さずに明かした。
「お父様、人間は……全員とは言いませんが、やはり、恐ろしい者たちでした」
異なる種族だからと悪口を言うようなことはしたくない。
けれども私は言わずにはいられなかった。
もちろん、誇張はしないし、嘘はついていないけれど。
「彼ら彼女らは異種族を受け入れません」
◆
あの婚約破棄から一ヶ月。
人間の国は我が種族に攻め込まれて滅んだ。
でも自業自得。
私はこうなるであろうことを予想していた。そしてそれを彼にもきちんと告げた。にもかかわらず、彼は聞こうとしなかったのだ。考え直してみるという選択もあっただろうに、彼は一切それをしなかった。
当人であるアイヴは、権力者の息子であったために重要人物リストに入れられていたそうで。
拘束後、拷問刑に処され北の塔で苦しんだ後に亡くなったそうだ。
彼の周囲にいた侍女らも全員捕まって処刑されたと聞いている。
悲しいことだが、私があの地へ戻ることはきっともうないだろう。
私は幸せに生きていく。
生まれ育ったこの国で、穏やかに、幸福を掴むのだ。
◆終わり◆
人間に直接的な恨みはなかった。戦争も歴史的なものだから私とは別の話、そう思っていた。だからこそ、人間と結ばれる役を背負うことにも耐えられると思っていたし、なんなら楽しく暮らせるかもしれないとも考えていた。
けれどもすべては幻想だったと分かった。
私はもう人間を擁護はしない。
たとえ、すべての人間が悪ではないとしても、だ。
親が待つ家へ帰った私は、全部を隠さずに明かした。
「お父様、人間は……全員とは言いませんが、やはり、恐ろしい者たちでした」
異なる種族だからと悪口を言うようなことはしたくない。
けれども私は言わずにはいられなかった。
もちろん、誇張はしないし、嘘はついていないけれど。
「彼ら彼女らは異種族を受け入れません」
◆
あの婚約破棄から一ヶ月。
人間の国は我が種族に攻め込まれて滅んだ。
でも自業自得。
私はこうなるであろうことを予想していた。そしてそれを彼にもきちんと告げた。にもかかわらず、彼は聞こうとしなかったのだ。考え直してみるという選択もあっただろうに、彼は一切それをしなかった。
当人であるアイヴは、権力者の息子であったために重要人物リストに入れられていたそうで。
拘束後、拷問刑に処され北の塔で苦しんだ後に亡くなったそうだ。
彼の周囲にいた侍女らも全員捕まって処刑されたと聞いている。
悲しいことだが、私があの地へ戻ることはきっともうないだろう。
私は幸せに生きていく。
生まれ育ったこの国で、穏やかに、幸福を掴むのだ。
◆終わり◆
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた
東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」
その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。
「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」
リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。
宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。
「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」
まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。
その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。
まただ……。
リシェンヌは絶望の中で思う。
彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。
※全八話 一週間ほどで完結します。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
誰でもよいのであれば、私でなくてもよろしいですよね?
miyumeri
恋愛
「まぁ、婚約者なんてそれなりの家格と財産があればだれでもよかったんだよ。」
2か月前に婚約した彼は、そう友人たちと談笑していた。
そうですか、誰でもいいんですね。だったら、私でなくてもよいですよね?
最初、この馬鹿子息を主人公に書いていたのですが
なんだか、先にこのお嬢様のお話を書いたほうが
彼の心象を表現しやすいような気がして、急遽こちらを先に
投稿いたしました。来週お馬鹿君のストーリーを投稿させていただきます。
お読みいただければ幸いです。
婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】
繭
恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。
果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる