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後編
しおりを挟む「アンドレ! 良かった! また会えて!」
「あはは、僕も嬉しいよ」
その後アンドレからこれまで色々あったということを聞いた。
何でも彼は一時親に言われて婚約者ができた時があったそうなのだ。しかし彼自身は乗り気ではなくて。それは私との約束があったから。でも拒否できず婚約させられてしまったので、嫌われるように行動したのだとか。そうして思惑通り女性側から婚約破棄を告げられ、彼は解放されたのだそうだ。
「そっかぁ、色々あったのね」
彼の人生に比べれば私の人生はまだ平和的な方かもしれない、なんて思ったりした。
もちろん何もなかったわけではない。
ただアンドレと再会できなくなりそうな危機的状況に陥ってはいなかった。
「イアは?」
「私は一人よ。いまだに婚約者なんて一人もいないわ」
「そっか……」
「え!? 何か問題!?」
「ううん、イアらしいなって思って」
久々に話しているのに、もうずっと前から一緒にいたみたいな気がする。
幼い頃の心の友だからだろうか。
「えええ……どういうことよそれ……」
「変な意味じゃないよ? 悪い意味でもない。純粋に、言葉通りの意味」
「そうなのね」
今ここから、私たち二人の新たな物語が始まる。
「うん、そうだよ。でも良かった、イアも変わってなくて」
「どういうこと?」
「いや、さ。もうイアは僕のことなんて忘れてるかもって、ちょっと不安にもなってたんだよね」
「そんなわけないじゃない!」
「自信なかったんだ。ここへ来るのも実はちょっと怖かったよ」
「もー、私を何だと思ってるのー?」
「ごめんごめん」
サクラ咲く日、幕開けてゆく――。
◆終わり◆
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