彼がいつも言っていた「愛してる」はどうやら嘘だったようです。~彼はざまぁな目に遭ったようですね? いやはや、ざまぁ~

四季

文字の大きさ
1 / 2

前編

しおりを挟む

 愛してるの言葉なんてくだらないものなのだと気づいた。

 ――そう、私は今日婚約破棄された。

 彼は私にいつも「愛してる」と言ってくれていた。
 非常にこまめな彼は日常の中で愛を伝えることすら手を抜かない人だった。

 だから信じていた。

 彼のことを。
 彼の愛を。

 ――けれどそれは嘘だった。

『ねぇ、今夜どこに泊まる?』
『君とならどこでも。高級なところでもいいよ。好きなところを選んで』

 彼が知らない女性と歩いているところを偶然見かけてしまって。

『ええー? 好きなところ、とか、そんなこと言うなら……高いとこ言うわよ?』
『もちろん、いいよ』
『お金なくなってたら婚約者さんに気づかれない? 大丈夫なの、本当に』

 二人の会話を聞いていたら。

『当たり前。あいつは金かからないし。それに、あいつのために使う金なんてないしね。けど、一応、金というのはどこかで使っておく方がいいんだよ』
『だからあたしに?』
『そうそう』

 彼の中には私への愛なんて欠片ほどもなかったのだと、現実を知ることとなってしまった。

『ありゃりゃあ……それはちょっと可哀想よ?』
『いいんだ、何でも』
『まぁそうではあるけれど……』
『君の笑顔の方がずっとずっと愛おしいよ』

 その後私はそのことについて彼に話したのだが、急に不機嫌になられてしまい、その流れのままに婚約破棄を宣言されてしまったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

不実なあなたに感謝を

黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。 ※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。 ※曖昧設定。 ※一旦完結。 ※性描写は匂わせ程度。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

ある早朝、耳もとにひんやりとした感触――って、え!? これ何ですか? どういうことなんです!?

四季
恋愛
ある早朝、耳もとにひんやりとした感触――って、え!? これ何ですか? どういうことなんです!?

[完結]婚約破棄したいので愛など今更、結構です

シマ
恋愛
私はリリーナ・アインシュタインは、皇太子の婚約者ですが、皇太子アイザック様は他にもお好きな方がいるようです。 人前でキスするくらいお好きな様ですし、婚約破棄して頂けますか? え?勘違い?私の事を愛してる?そんなの今更、結構です。

貴方の知る私はもういない

藍田ひびき
恋愛
「ローゼマリー。婚約を解消して欲しい」 ファインベルグ公爵令嬢ローゼマリーは、婚約者のヘンリック王子から婚約解消を言い渡される。 表向きはエルヴィラ・ボーデ子爵令嬢を愛してしまったからという理由だが、彼には別の目的があった。 ローゼマリーが承諾したことで速やかに婚約は解消されたが、事態はヘンリック王子の想定しない方向へと進んでいく――。 ※ 他サイトにも投稿しています。

【完】お望み通り婚約解消してあげたわ

さち姫
恋愛
婚約者から婚約解消を求められた。 愛する女性と出会ったから、だと言う。 そう、それなら喜んで婚約解消してあげるわ。 ゆるゆる設定です。3話完結で書き終わっています。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

処理中です...