彼がいつも言っていた「愛してる」はどうやら嘘だったようです。~彼はざまぁな目に遭ったようですね? いやはや、ざまぁ~

四季

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後編

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 窓越しに見上げた空はどこまでも高く、そして、黒に近い深い色をしていた。その色すらもこの胸から喜びを奪ってゆくかのように感じられて。夜空は美しい、が、それすらも今は愛おしいものと感じられぬほどに心は弱り荒んでいた。


 ◆


 だが婚約破棄から一週間ほどが経ったある日に驚くべき出会いがあった。

 異国からやって来ていた王子一行が迷子になったのだ――それがたまたまうちの前で、それで、私を含む一家は彼らを助け支援することにして――それによって王子と親しくなった私は気づけば彼とかなり近しい関係になっていた。

 もちろん、不健全なことには至っていない。

 彼はそのあたりしっかりしている人だ。
 欲望のままに身勝手なことをするような人間ではなかった。

 ただ、心の距離は一気に縮まり、気づいた時にはまるで昔からの友であったかのような関係性になっていたのだ。

 で、そこから徐々に話は進んでいって、私たちはついに夫婦になるところにまで至った。

 私は一国の王子の妻となった。
 彼と共に生きるのなら異国での生活になってしまうけれど、それでも、彼と一緒にいられるなら大丈夫だと思えた。

 こうして私は幸せになれたのだが――元婚約者の彼はというと、あの後結婚詐欺に巻き込まれて一文無しになってしまったそうだ。
 彼は今、路上で、通行人から冷ややかな目を向けられながら一日中地面に座って頭を下げ物乞いをしているらしい。


◆終わり◆
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