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4話
しおりを挟む「オーラスさん、私、申し出を受けます」
「それは……!」
「貴方と婚約したい、ということです」
すると彼は表情を明るくする。
「そうですか……! それは良かった……!」
こうして私は隣国の王子であるオーラスと婚約することとなった。
◆
あれから数年。
私は隣国へ移り住みオーラスのもとで穏やかに暮らしている。
移り住んですぐは慣れないこともあった、でも、今はもうこの国での暮らしにすっかり馴染んだ。
オーラスに愛され、周囲の人たちからも温かく見守られ、今とても幸せだ。
そうそう、ちなみにカルッセはというと、彼はあの後良い相手を見つけられないまま王子の座から落とされることとなったそうだ。
というのも、私と彼の縁が切れたところから急激に王家の経済状況が悪化したそうで――まぁそれは援助がなくなったからなのだが――にもかかわらず王族たちは好き放題金を使っていて、それによって王家が倒れたそうなのだ。
で、王族も平民に合流することとなったらしくて。
そういう経緯でカルッセもまた王子ではなく平民になったようである。
しかし王子だった頃の高圧的なところが抜けず。平民に交じって楽しく暮らしていく、なんてことはできなかったようで。段々心を病み、仕事もできず、今は抜け殻のようになってしまっているらしい。
もしあのまま私と一緒にいたとしたら――きっとそんなことにはならなかっただろうに。
でも、いい。
私は自由も幸福も得られたから。
今の私が彼に縛られず生きてゆけるのは、あの時彼が私を切り捨ててくれたからだ。
そういう意味では、ありがとうカルッセ。
◆終わり◆
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