魅力が足りないから婚約破棄!? 酷くないですか!? ~その後隣国の王子に愛されることとなったのです~

四季

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3話

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 毎日のように通って会いに来てくれる。

 でも段々彼がここへ来ることに慣れてきた。
 最初の頃は少し違和感があったけれど。
 人間は大抵、意外なことも積み重なれば徐々に慣れていく、というものだ。

「今日は冷たいスイーツを買ってきてみました」
「ええ! ありがとうございます!」
「これです」
「うわあ、キレイ」
「よければ……これを一緒に食べませんか?」
「良い案ですね! 食べましょう食べましょう!」

 ――そして、ある日ついに。

「ローザネインさん、僕と婚約してくださいませんか」

 そんなことを言われる。

「僕は実は隣国の王子です。なので……生活には苦労させません。一生不便さは感じさせません。ですからどうか、共に歩んでいただきたいのです。……お願いします!」

 さらにそんなことを付け加えられて――その時初めて彼が高貴な人であると知った。

「お、王子!? そうだったのですか!?」
「はい」
「無理ですっ、私なんか」
「ですが以前カルッセ王子と婚約なさっていましたよね」
「あれは何となく流れでそうなっただけです! 本当は私、王子の妻となれるような人間ではないんです。それに実際婚約も破棄されましたし」

 あれこれ言ってみるけれど、言葉が滑る。

「僕は貴女がいいです」
「えええ……」

 そのうちに圧をかけられて。

「その、本当に、私で……?」
「もちろんです!」
「ごめんなさい、ちょっと……頭が追いつかなくて……」
「嫌なら嫌と言っていただいても」
「あの! そうじゃないんです! でも、いきなり過ぎて」
「……では、考えていただけますか?」
「はい、考えます」
「一週間くらいで答えをいただけますか?」
「あ、はい! もちろん! そうします! 一週間以内に」

 すると彼は微笑む。

「分かりました。では一週間後まで毎日来ますね」

 多分――心はもう決まっている。

 でもそれをすぐに言葉にすることはできなくて。
 だから返答を先延ばしにしてしまったのだ。

 けれども、その日から五日が経った日、ついに答えを述べる決心をする。
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