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前編
しおりを挟むとある田舎の町で生まれ育った私リールには婚約者がいる。
彼の名はフィッシュリゾーレ。
町では女性からの人気も高い青年だ。
しかし彼は私に対してことあるごとに嫌みやら何やらを言ってくる。
命令されて掃除をすれば埃が一つ残っているだなんだと些細な問題点を無理矢理見つけ出され、指示された通りに料理を作れば美味でないとかお前の腕が低級なせいでかす料理になったなどと悪口を言われ――と、彼と過ごす日々はまるで地獄の日々のようだ。
前に一度、どうしてそんなことを言うのかと尋ねてみたことがある。
しかしまともな答えはもらえず。
さらに侮辱されることとなってしまっただけで終わった。
そんなある日の昼下がり、いつものように洗濯物を干していた時、フィッシュリゾーレは突如婚約破棄を告げてきた。
「婚約破棄、ですか?」
「ああ」
「関係を終わりにする、ということですね」
「そういうことだ」
私としては、関係をおしまいにするというのは大歓迎である。
彼は性格が悪い。
そんな人と一緒にいて楽しさなんてあるわけがないし、未来への希望だって持てるはずがないではないか。
婚約破棄される。
それが彼と離れられる有力な手であるのであれば。
正直それは私にとって都合の良い展開である。
「お前は無能過ぎた」
「……おっしゃりたいことはそれだけですか?」
「何だと」
「もう、よいのでしょうか?」
「リール? 何を言っている? それに……何やら生意気じゃないか」
眉間にしわを寄せるフィッシュリゾーレ。
「今とても嬉しい気持ちです」
でも、もう、怖いものなんてないわ。
だってそうでしょう? 彼とはこれでおしまい。それなのに何を恐れるのかしら? もう終わり、もうさよなら、なのに恐れることなんてある?
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