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後編
しおりを挟むこうして私はリグラと結婚することとなる。
光なき世に再び降り注ぐ光。
私は希望を久々に目にした気がした。
これで家を出られる! というのが、何よりも嬉しかった。
◆
あれからどのくらい時が経っただろう。
私は今もリグラと二人で暮らしている。
二人で暮らす家には何人もお手伝いさんがいて、彼女らが家のことは色々こなしてくれる。なぜなら、リグラの実家が裕福なのだ。そのお金で人を雇えるのである。
なので私はあまりすることがない。
だから日頃はお菓子作りをしたり縄跳びをしたりしている。
本当はもっと雑用でもしたい気分なのだが、それは、リグラに「癖を治すため、雑用はしないように!」と言われているため控えている。
そうそう、そういえば。
これは最近親戚ルートで入手した情報なのだが。
ルリは私から奪い取った男性と結婚したそうだが、非情にわがままなうえ家事など一切できず、それによって夫に激怒される日々が続いたそう。で、しまいには、暴力にまで至ったらしくて。ある時ルリは一晩中殴られあばら骨を数本折る大怪我を負い、それが原因となって離婚に至ったそうだ。
だがその時には既にルリの心は壊れていて。
今は実家に戻っているようだが。
笑うことも楽しく会話することさえもできないような状態らしい。
また、母は私が家を出た直後に近所の人に貰った山菜の中に入っていた毒きのこを食べてしまって死亡、父は妻の死によって毎日泣かずにはいられないような精神状態だそうだ。
それでも父はルリの世話だけは必死に行っているようだが……。
ま、なんにせよ、あそこには良い思い出はない。
本心を言うなら、どうなろうがどうでもいい、という感じだ。
あの場所で私はずっとこき使われてきた。同じ娘であるルリとはまったく異なる待遇の中、それでも、真面目に生きていた。でも当然嬉しかったことなんてない。楽しかった記憶もない。いつだって理不尽なだけだった。
私はもう戻らない。
私はこの幸福の中で生きてゆく。
◆終わり◆
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