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前編
しおりを挟む「あなたって本当にダサいわね。わたしの息子には相応しくないんじゃない? ま、あなたの家の権力を手に入れられるからあなた自身なんてどうでもいいけれど」
婚約者アルベスの母親は初対面でそんなことを言ってきたほど空気が読めない失礼な女性だった。
彼女は私を嫌っていた。ただ、国における権力を持っている私の家のこと自体は嫌っていないようで、「それがあるから許している」ということをやたらと主張してきていた。まるで、貴方の価値は家柄にしかない、と言われているかのようで少々不愉快ではあったけれど。でも、こういうことはどこでも起きているのだろうと考え、我慢するようにしていた。
そんな中で迎えたある日。
何ということのない平凡そのものの日だったのだけれど。
「来たわね? リエムさん」
アルベスに呼び出されたと思って彼の家に行ったところ、彼の母親が迎えてくれた。
「え、っと……お義母様?」
「そうよ、あなたを呼び出したのはわたし。今日はね、あなたに言いたいことがあったの」
腕組みして鼻の下を伸ばして胸を張っているアルベスの母親は胸を強調するようなデザインのマーメイドラインのドレスを着用していた。しかも生地が赤くて艶があるもの。艶めかしい雰囲気を演出しようとしているのだろうか。そういう容姿ではないので、そのようなことをしても意味があるとは思えないが。
「言いたいこと?」
「そう。わたしの息子とあなたの婚約についてなのだけれど」
「何でしょうか」
「婚約、破棄とするわ」
「え」
本人がいないところで何を言い出すのか。
決めるのは本人ではないのか。
息子の人生に関する重要な物事に勝手に触る権利なんてないはずだ。
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