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婚約者の彼が婚約破棄を告げてきました。しかもその隣には私の妹が寄り添うようにして立っていて……?
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「悪いな、ネリア。俺、お前との婚約は破棄するわ」
その日は突然やって来た。
――婚約者リフスに関係の終わりを告げられる日。
「え……ど、どうして」
「動揺しているようだなネリア。しかしこれは現実だ。受け入れてもらう外ない」
婚約破棄と言われるだけでも驚きだ。
でも今彼の隣には我が妹が彼に寄り添うようにして立っている。
なおさら衝撃的な光景である。
「俺は妹さんに惚れたんだ」
「お姉さま、リフス様はわたくしがいただきますわ」
「急で悪いとは思う。が、俺たちは出会ってしまった。そして愛し合ってしまったんだ。真実の愛は誰にも壊せない」
「そうですわ、たとえ婚約者であっても……真実の愛の前には無力ですのよ」
二人はすっかりロマンチックモードの海に浸かってしまっている。
「じゃあなネリア、さよなら」
「うふふ、お姉さまは別の方と幸せになって」
どうして私がこんなややこしいことに……。
真っ当に生きてきたはずなのに。
悪いことなんてそれほどしないでここまで歩んできたのに。
それなのにこんな目に遭わなくてはならないなんて、神はあまりにも残酷過ぎる……。
◆
あの婚約破棄の後一年も経たず、私は、良縁に恵まれた。
婚約者を妹に奪われた、その事実を知った親戚のおばさんが紹介してくれた青年リカルド――彼こそが我が夫となった人である。
リカルドは良家の子息。
リフスなんかとは生まれた家柄からしてまったくもって違う。
彼は高貴な人だ。また、それでいて誠実さも持っている。純粋さ、愛、そういったものも失っていない。彼はどこまでも人らしく在る。そして裕福さを享受してきたからこその心の余裕も持っている。
ちなみにリフスと妹はというと、結婚後半年も経たず離婚となったそうだ。
というのも、リフスが結婚後間もなく早速不倫をしたそうなのである。
リフスの不倫を知った妹は激怒しリフスを全力で責めたうえ暴言を吐き手まで出したそうで、それによって二人の関係は壊れてしまったのだとか。
妹は『夫に暴行を加えて捨てられた女』を手に入れることとなってしまい、リフスは『離婚経験のある男』という不名誉を背負って生きてゆかなくてはならないこととなってしまった。
あんなに愛だ何だと言っていたのに。
結局あれは浮かれていただけだったよう。
二人の間に固い絆なんてものは存在しなかったのだ。
◆終わり◆
その日は突然やって来た。
――婚約者リフスに関係の終わりを告げられる日。
「え……ど、どうして」
「動揺しているようだなネリア。しかしこれは現実だ。受け入れてもらう外ない」
婚約破棄と言われるだけでも驚きだ。
でも今彼の隣には我が妹が彼に寄り添うようにして立っている。
なおさら衝撃的な光景である。
「俺は妹さんに惚れたんだ」
「お姉さま、リフス様はわたくしがいただきますわ」
「急で悪いとは思う。が、俺たちは出会ってしまった。そして愛し合ってしまったんだ。真実の愛は誰にも壊せない」
「そうですわ、たとえ婚約者であっても……真実の愛の前には無力ですのよ」
二人はすっかりロマンチックモードの海に浸かってしまっている。
「じゃあなネリア、さよなら」
「うふふ、お姉さまは別の方と幸せになって」
どうして私がこんなややこしいことに……。
真っ当に生きてきたはずなのに。
悪いことなんてそれほどしないでここまで歩んできたのに。
それなのにこんな目に遭わなくてはならないなんて、神はあまりにも残酷過ぎる……。
◆
あの婚約破棄の後一年も経たず、私は、良縁に恵まれた。
婚約者を妹に奪われた、その事実を知った親戚のおばさんが紹介してくれた青年リカルド――彼こそが我が夫となった人である。
リカルドは良家の子息。
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彼は高貴な人だ。また、それでいて誠実さも持っている。純粋さ、愛、そういったものも失っていない。彼はどこまでも人らしく在る。そして裕福さを享受してきたからこその心の余裕も持っている。
ちなみにリフスと妹はというと、結婚後半年も経たず離婚となったそうだ。
というのも、リフスが結婚後間もなく早速不倫をしたそうなのである。
リフスの不倫を知った妹は激怒しリフスを全力で責めたうえ暴言を吐き手まで出したそうで、それによって二人の関係は壊れてしまったのだとか。
妹は『夫に暴行を加えて捨てられた女』を手に入れることとなってしまい、リフスは『離婚経験のある男』という不名誉を背負って生きてゆかなくてはならないこととなってしまった。
あんなに愛だ何だと言っていたのに。
結局あれは浮かれていただけだったよう。
二人の間に固い絆なんてものは存在しなかったのだ。
◆終わり◆
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