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後編
しおりを挟む「え」
まさかの言葉に目をぱちぱちさせるアリアンナ。
「能力があるとか何とか父は言うけどさ、俺、お前に興味ないんだ」
「そう……ですか」
「だから婚約破棄したくてさ」
「し、しかし、良いのでしょうか……? 勝手に婚約破棄など……」
「何だよその目! うぜぇ!」
感情的になったエルフィグはアリアンナの頬を張る。
「っ……」
アリアンナは泣きそうになりながらも懸命に涙をこらえていた。
「いいからもう出てけ。去れ。で、俺の前に二度と現れるなよな」
エルフィグは冷ややかに終焉を告げた。
こうして二人の関係は終わりを迎えたのであった。
◆
婚約が破棄となった数日後、魔物が国に大量に押し寄せた。
彼らはアリアンナがいなくなる時を待っていたのだ。
魔物らは国を荒らした。しかしその本当の狙いは王家にあり。彼らは民より支配者である王族を滅することを企んでいた。強力な魔物の襲撃に、王族はなすすべもなく捕らえられた。もちろんエルフィグも。皆拘束され、魔物たちに弄ばれた果てに様々な形で処刑される。
その後国は魔物によって支配された。
――だがしかしそれは民にとっては悪いことではなかった。
それまであった理不尽な方がいくつも廃止となり、また、重税もなくなり税自体もほぼないに等しいくらいとなったのだ。
「国が変わって良かったわねぇ」
「楽になったわ」
「生活が楽しくなってきたわね、これから何しようかしら」
色々な縛りがなくなり、国民の瞳にも輝きが戻る。
魔物による支配は決して悪質なものではなかった――国民からしてみれば、ある意味解放であったのだ。
その後アリアンナは支配者である魔物と結婚した。
権力のためではない。
互いに惹かれ合ったからである。
味方となった今、魔物とアリアンナの間に壁はない。
◆終わり◆
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