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後編

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「あーあ、これでもう、ごみなお姉さまと一緒にされなくて済むわね~」

 婚約が決まった直後もそのようなことを言われた。

 だが婚約から数ヶ月が経って。
 毎日のように婚約者のところへ行っていた彼女は、ある日、急に泣きながら帰ってきた。

「おかあざまぁぁぁぁぁぁ、おどうざまぁぁぁぁぁぁぁ、婚約破棄ざれだぁぁぁぁぁぁ」

 妹は婚約者に切り捨てられたそう。
 その理由は「わがまま過ぎる」というものだったらしい。

 それからというもの、超絶自信家だったエリリはどこかへ消えてしまい、彼女は毎日のように死のうとするようになった。

 私にできることはない。なのであまり関わらないようにしておいた。下手に関わって何か起きてしまっても悪いので、離れたところから見守るだけにしておいた。一応無関心ではない、見ているだけ、だ。

 そして。
 それから数週間が経ったある日、エリリは、自室にて死を選んでいた。

 誰からも愛される、そう言っていた彼女はもう……この世にはいない。


 ◆


 それから数年、私は王子に見初められ、彼の妻となることとなった。

 城での暮らしは新鮮で。
 知らないことも多く戸惑いもありはしたけれど。
 それでも嬉しいこともある。

 夫に愛される、それが何より嬉しい。

 ごみとか何とか言われていた私ではあるけれど。
 愛されることはできた。


◆終わり◆
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