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2話「夢をみすぎ」

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「いつも柔らかく微笑んでいて、ずっと隣の少し後ろにいて、温かく接してくれる、そういう女性が理想的な女性だよ。もちろん、夫に意見するなんてあり得ない。夫の言うことはすべて聞き、理解を示して、それがどのような内容であっても頷き受け入れる。指示にはもちろん従う。それも速やかに。そういう女性でなければ外れだよ」

 彼は独自の理論を展開する。
 しかしそれは夢物語でしかない。
 現実にそのような都合の良い女性はいない、か、いても稀だろう。

 彼に気に入られることにかなりの益があると考えている人ならそんな風に寄ってきてくれる人もいるかもしれないが……いずれにせよそれでは健全な関係とは言えない。

 それは利用されているだけのこと。

「分かりました。それでは私はもう去ることにしますね」
「そうしてほしいな」
「残念です。では……これにて、さようなら」

 軽く一礼し、彼の前から去る。

 言いなりの奴隷のようになることを求められるなら、こうなったのも定めというもの。今でなかったとしても、いずれ関係は壊れただろう。どのみち壊れるというなら早いうちの方が良い。後からだとさらにややこしい。
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