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1話
しおりを挟む「え……どうして……」
その日見てしまったのは、婚約者フォルケスが自室で私の妹であるフォレミナとキスしている場面だ。
フォルケスは今日仕事関連の出張だと言っていた。なのでその間にしておきたい用事があったため私はここへ来た。でも彼は留守ではなくて。それどころか、他の女と、しかも婚約者の妹である女と、迷いなどなく唇を重ねていた。
「お姉さま!?」
「な、なぜお前がここに!?」
先に私に気づいたのは妹フォレミナ。
それから追うようにしてフォルケスも私に気づく。
「な、何でお前が! お前がここにいるんだ!」
フォルケスはフォレミナの柔らかな唇から口を離して攻撃的に発してきた。
何よそれ? 私が悪いの?
「出張と聞いていましたので、その間に少し用事を終わらせておこうと思って来たのです」
淡々と返す。
けれどもフォルケスは既に怒ってしまっているようで。
「探っていたのだな! この悪魔! いや、悪女め!」
「いいえ、そんなのではありません」
「お前は女として最低だ!! 婚約者を疑い探るなど。奉仕のための存在である女性としてくずのような行為だぞ!!」
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