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2話
しおりを挟むこの状況をごまかすためか、フォルケスはやたらと高圧的に言葉を放ってくる。
それが理解できない。
悪いこと、許されないこと、それを行ったのは彼の方ではないか。私はただここへ来ただけだし、彼の両親に黙って家へ入ったわけでもない。
なのになぜ私を責める?
「最悪な女だな! お前は!」
「私が何をしたというのですか、私一人を勝手に悪者にして」
「うるさい黙れ! ああ、そうだ。もういい! お前みたいなうるさい女とはやっていけん、婚約なんぞ破棄してやるッ!!」
こうして私は一方的に婚約破棄された。
その様を見ていたフォレミナは勝ち誇ったように黒くにやにや笑みを滲ませていた。
そうか、私から奪いたかったのか――婚約者を、フォルケスを。
だとしたら今はさぞ良い気分だろう。
でも、そんなくだらない奪い合いに参加する気はない。だって時間も無駄ではないか、姉妹で戦って男を奪い合うなんて。もちろんそうしてまで欲しい男ならするかもしれないけれど。ただ婚約者だっただけの相手を奪われないようにするため必死になるなんて、どう考えても、体力精神力の無駄遣いだ。
その後私はこのことを両親に説明。
すると父は怒ってくれた。
そしてフォレミナを子と認めないという手続きを行ってくれた。
「フォレミナ、お前のような娘はもう我が子とは認めない。卑怯すぎるからだ。姉の婚約者を奪うなど……」
「違うんです! 違うんですわお父さま! わたくしが奪ったわけではありませんの、惚れられてしまっただけで……」
「だがきちんと対処しなかったことは事実だ。しかもなんだ、キスまでしていたそうじゃないか」
「そ、それは……」
「縁切りだ! フォレミナ、お前はもう、この家には必要ない」
フォレミナは泣いてしまう。
でも父は容赦しない。
許すどころか怒りを静かにぶつけゆくばかり。
「今すぐ去れ。そして、その裏切り者の男とせいぜいくっつくがよい。だがな、姉はもっと良い人と結ばれることになるから、覚悟しておけよ」
その日が、私がフォレミナを見た最後の日となった。
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