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3話
しおりを挟む何でも、エーベルリッヒは友人たちとの遊びの約束などをどんどんキャンセルしているそうなのだ。その原因となっているのが愛している女性アリィだそうで。エーベルリッヒは今他のすべてのどんなものよりもアリィを大事に思っているそうで、また、片時も離れたくないと思っているのだそうだ。
彼はアリィに心を完全に乗っ取られてしまっているみたいだ。
周囲もそれには気づいていて。
中にはアリィを怪しいと言っている者もいるようだが、その声は彼の耳にはまったくもって届いていないようだ。
◆
あれから一年、エーベルリッヒはアリィに資産をすべて吸い取られたうえ捨てられてしまったそうだ。
それによってエーベルリッヒは発狂。
数日にわたって暴れ回り、その後は酷く無気力になってしまったそう。
今彼は抜け殻のような状態になってしまっているらしい。
家族が声をかけても、友人が声をかけても、彼はほぼどんな風にも反応しないのだとか。
彼は一日の九割以上の時間を自室にてじっとして過ごしているらしい。
また、今の彼は「アリィ」しか言えないそうで、どんな風に声をかけてもどんな問いを投げかけても「アリィ」としか返ってこないのだとか。
エーベルリッヒの人生は彼女によって崩壊した。
彼女の怪しさに少しでも早く気づけていれば何か変わったのかもしれない。
だが今さら何をしようとももはや現状を変えることはできない。
もはや手遅れなのである。
ちなみに私には今とても良い縁談がやって来ている。
「本日はとても楽しかったです、ありがとうございました」
「こちらこそ。私もとても楽しかったです」
「よければまた次回も。厚かましいようですが、よければぜひお願いしたいです」
「はい……! 私も、同じ気持ちです……!」
視線の先には明るい未来が在る。
「では、またよろしくお願いしますね」
「こちらこそ、ぜひ、よろしくお願いします……!」
◆終わり◆
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