婚約破棄なら直接告げれば良かったのではないですか? 敢えてそんな手の込んだ遠回しな伝え方をしなくても……。

四季

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2話

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「ええー……」
「説明する義務などないはずだ」

 というより、合唱団を連れてくる必要はあったのだろうか?

 婚約破棄の意思を伝えたいのであれば、わざわざこんな大規模な合唱団を使って伝える必要なんてなかったのではないか?

 謎だ……。
 謎でしかない……。

「あまりにもいきなり過ぎて戸惑いしかないのだけれど……」
「なんにせよ、関係を続けていく気はない。そこは分かったか? 分かっているのか?」
「ええ、分かっているわ」
「ならそれでいい! 話はもうおしまいだ!」

 こうして話は強制終了させられた。

「さようなら~」
 「えいえんの~」
  「おわかれだ~」

 やはり最後は合唱団が締めた。

 これは一体何を見せられたのだろう……。


 ◆


 数週間後、エーベルリッヒが一人の金髪女性を連れて街を歩いているところを目撃した。

 二人は腕を絡め合い、いちゃつきながら歩いていた。
 その距離感は凄まじく近くて。
 それこそまるで男女のすべての深い情を体現しているかのようであった。

 また、ちょうどその頃、エーベルリッヒがアリィという女性と親しくしているという噂が流れていた。
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