常に貴女の傍に

四季

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2話

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「ありがとうございます。親衛隊の方……ですよね?」
「はい」
「ありがとうございます。もしよければ……お名前を聞かせていただけませんか?」

 王妃と話したのはこの時が初めてだったが、彼女はとても丁寧な女性だった。若く美しく、それでいて礼儀正しく嫌みのない、完璧に近い人。

「エリアスです」
「では、これからエリアスさんと呼んでも構いませんか?」
「エリアスで結構です」
「呼び捨てですか……、はい。ではそのように努めます。今日は助けていただき、ありがとうございました」

 彼女は別れ際にもう一度丁寧なお辞儀をした。

「兄さん、王妃と一体何を話してたんだい?」

 私と王妃が別れた後、ルッツが不思議そうな顔で尋ねてくる。事情を説明すると、ルッツは「ふうん」という曖昧な返事をした。


 それから王妃はよく私に話しかけてくるようになった。

「私、エンジェリカには知り合いがディルク様しかいなかったので……エリアス、貴方と知り合えて良かった。心強いです」

 彼女は度々そんなことを言ってはあどけなく笑う。笑う時に口元を隠すガラス細工のような繊細な手が印象的だった。
 初めのうちは夫がいる女性と話すということに違和感を感じるばかりだったが、そんな小さな違和感は、じきに消えた。


「兄さん、今日もまた王妃と話してたのかい?」

 ルッツは王妃についてよく聞いてくる。親衛隊員と王妃。本来なら友のように時間を共有するなどありえない立場だ。気になるのも当然といえば当然かもしれない。

「そうだ。今日は王宮の中庭に行って植物についての話をしていた。王妃はアイーシアいう花が好きらしい。今は蕾だがもうまもなく咲くと言っていた」

 私は無意識に王妃との楽しかった話を続けていた。

「……随分仲良しなんだね」

 ルッツが静かに言う。どこか寂しそうな表情で。
 それでもまだ私はルッツが変わりつつあることに気がつかなかった。
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